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小林よしのり氏の「ゴーマニズム宣言SPECIAL 新・堕落論」を読んだ感想

現代日本社会の抱えている「堕落」の問題に対し、小林よしのり氏独自のテイストで踏み込んだ書き下ろし漫画「ゴーマニズム宣言SPECIAL 新・堕落論」を読みました。 

 

よしりん節は控えめ

「ゴーマニズム宣言」の名のとおり、小林よしのり氏の持ち味と言えば上から目線(褒め言葉でもDISでもありません)で諸問題をゴーマンにぶった切る・・・ところなのですが、本書はそういったアクの強い部分は少なめ。

 

「わしのかんがえるさいきょうのほしゅ」

「大衆はアホばかり」

 

などなど、歯に衣着せぬ物言いや皮肉たっぷりのよしりん節は健在なれど、文学や歴史を引用しながら、今の日本が抱えている様々な堕落・・・「スマホによる堕落」「アメリカ従属の堕落」などについて呆れ嘆きつつも、日本の未来を小林氏が憂慮する内容となっています。

 

第2章「スマホによる堕落」について

個人的に、読んでて気になったのはココ。

 

インターネットやスマホ、SNSなどといった現代テクノロジーに対しては元々否定的なよしのり氏なので、「スマホ病」とも呼ばれる現代社会のスマホ依存について苦言を呈する、という流れは予想通り。よしのり氏自身もスマホを使用しているようですが、スマホに頼らざるを得ない現状に納得がいっていない模様。

 

まあ言いたいことはわかります。僕も技術者の端くれではあるのですが、近年のテクノロジーの進化の速度が速すぎて、いったいこの先社会はどうなってしまうのだろう、という漠然とした不安を抱えていないといえば嘘になります。

 

しかしながら、「スマホ」や「インターネット」などの文明の利器に頼りすぎて人間が堕落している・・・と嘆くよしのり氏ですが、何故いつもデジタルにばかりその矛先を向けるのだろう、という点が気になるのです。

 

アナクロ派を自認するよしのり氏は、当然というべきかなんというか、漫画原稿も昔ながらのアナログ描きのようですが、じゃあそのいつも使っている原稿用紙やペンは文明の利器じゃないの?さらに言うなら、その原稿用紙を置いている机は?夜仕事するときに照明つけないの?・・・etc

 

よしのり氏の言う「文明の利器による堕落」という憂慮もわからなくはないのですが、自分が昔から使っている文明の利器に対しては何も感じず、新しく出てきたテクノロジーにばかり文句を言うのは、ややアンフェアな感じがするんですよねぇ・・・結局自分が気に入らないから叩いているだけじゃないの?という。

 

よしりん氏はどうもそういうところがあって、昔ライブドア事件があった際も「何がインターネットだ!ITなんて虚業だ!」とか憤っていたことがありましたが、IT業界の末席に身を置く僕としてはあまり良い気分になりませんでした。

 

彼にとっては「IT=インターネットとかWebとかの技術」って認識なんでしょうけど、僕のいる組込み系開発の業界は小林よしのり氏が絶賛していた「日本のモノづくり」そのものなんですけどねぇ・・・もちろんWeb業界も虚業なわけはなく、現代社会のインフラを支える大事な技術なわけで。

 

よしりん氏は自分自身の職業「漫画家」を軽んじられると激怒するのに、自分の関わっていない、気に食わない職業・業界を平気でディスるのはモヤっとしますね。漫画家という想像力が大切なお仕事をされているのですから、自分が直接関わっていない業界に対してもその想像力を発揮していただきたいところです。もしくは、もう少し調べてから描いて欲しい。 

 

 

とまあ、いろいろ批判的には書きましたが、全体としては読みごたえのある面白い本でした。