「俺はこれから3連休のロスタイムに突入する」
そう言い残して家を出た。
家には愛する妻と子どもたちを残して、だ。
我ながら外道だと思う。
だが、どうしても受け入れられなかった。
今日が連休最終日だということを。
この連休は両家にお彼岸のお参りにいった。
天気が良かったので子どもたちと外で遊んだ。
家族で外食にも行った。
それなりに充実していたし、親孝行も妻孝行も子ども孝行もそれなりにしたと思う。
それでも、何かが足りない。
足りないものを追い求め、僕は地元の街の中を車を走らせた。
17時00分
この心のスキマを埋めるにはどうすればいいのだろう・・・
そうだ、こういうときは珈琲だ。人間は喉が渇けば水を求め、心が渇けば珈琲を求める。そういう風にできている。
どうせならまだ行ったことのない喫茶店に行ってみよう。
そう思うだけで僕の渇ききった心にほんのわずかに潤いが生まれた。
17時15分
何店か回ってみたが、どこも既に閉まっていたりオーダーストップだったり・・・
ここはモーニング文化が跳梁跋扈する、東海地方は岐阜県。
朝は7時とかにオープンする喫茶店も珍しくないが、その分夜は早く閉まる店が多い・・・気がする。
仕方ない、芸が無いがコメダ珈琲に行こう。コメダなら23時までやっている。
途中珈琲仲間と合流し、2人パーティーとなってコメダに向かう。
17時30分
コメダ到着。
今日は既に珈琲をもう2杯も飲んでいるので、アメリカンを注文。
ここはアメリカン用の珈琲マグが抹茶色でオシャレ。せっかくなので合わせて抹茶ケーキも注文した。
ふむ、絵になる。カメラが下手なのはいかんともしがたいが、僕の心を潤すことにはいささかの不足も無い。
18時00分
珈琲を楽しみ、僕の心ゲージは20%くらいから50%くらいまで回復した。
しかしながら、まだまだ心のスキマは埋めきれない。
黄昏時の公園。
この物悲しい景色が、今の僕の心を過不足無く表現している。
18時15分
帰宅。
1人だけ自由時間を楽しんだ僕に、妻はきっと怒っているだろう。
構うものか。僕は夫や父親である前に、1人の人間だ。僕の人生は僕のためにあるのだ。
「あ、KENちゃんお帰り~。さ、1人だけ自由時間取った代わりに、夕飯作ってもらいましょうか。」
あ、はい。そういう約束でしたね。もう時間も遅いんで、簡単なオムライスとかでいいでしょうか。
夕飯を食べ終わった子どもが、後ろから僕を押し倒してくる。
あ、はいはい。お馬さんごっこの約束だったよね、お手柔らかにお願いします。
僕の心ゲージは100%まで回復した。
また明日から仕事をちょっとだけがんばろう。