2人の子どもにマイホーム、家族全員健康に問題なし。表面上は普通に幸せに暮らしてるように見える家族ですが、夫婦の心の距離は広がるばかり。妻はいつも心の中に「離婚」の2文字がちらついている。
そんな夫婦の心の葛藤や悩みを描いたコミックエッセイ「離婚してもいいですか?」を読みました。
妻の言い分
このコミックエッセイに登場する「妻」は、どちらかといえば不器用なタイプになるかと思います。本人もそれを自覚しており、第一子が生まれたタイミングで「仕事と育児・家事を器用にこなす自信がない。子どもが大きくなるまでは育児に専念したいので、会社を辞めたい」と夫に相談。夫も快諾してくれたので、晴れて専業主婦になって、育児・家事に専念することに。しかし、これが夫婦の歯車を狂わす第一歩に・・・
仕事の忙しさやストレスを理由に、ほとんど全くといいほど、育児も家事も参加しない夫。家事はともかくとしても、2人の子どもなんだから育児は協力し合ったり相談しあったりしながらやっていきたい妻。しかしその要望を伝えても、夫は「俺は外で働いているんだから、育児はお前がやって当然だろ」という姿勢を崩しません。「ずっと家にいてのんびりしてるんだから、もっとちゃんとやれ」と家事にもダメ出ししまくりの夫。
あまりしつこく要望すると夫の機嫌が悪くなるので、いつしか妻は夫には何も反抗が出来なくなっていきます。生活費を夫1人に稼いでもらっているという負い目もあり、夫の機嫌を損なわないように注意するだけの日々に。
次第に夫への愛情も冷めていき、「夫のことが大嫌い」という状況に陥ってしまいます。
夫の言い分
正直この作品は読んでて夫に対してイライラしっぱなしでした。そりゃ、多少は妻の側も要領の悪いところもあるかもしれませんが、夫婦2人で話し合って妻は専業主婦になったはず。「お金を稼いでいるのは俺だ」と強弁したところで、妻が家事・育児を一手に引き受けてくれているからこそ、安心して外で働けているのだ、という視点がこの夫にはすっぽり抜けていて話になりません。
しかし、「盗人にも三分の理」ではありませんが、夫の側にも言い分はあります。夫の姉や会社の同僚女性は仕事と家事・育児を見事に両立させており、バリバリお金を稼いでいる女性ばかり。何故自分の妻は家でのんびりしてばかり(夫視点での感想)で、仕事をしてくれないのか。家計も苦しいというのに・・・
夫も「専業主婦でいいよ」と一度は認めた手前、「将来のことを考えるともっとお金を稼いでおきたいから、働いて欲しい」・・・とはなかなか妻に切り出せず(男の見得もあるようですが)、妻の家事や育児にダメだしすることによって会社でのストレスを解消しているフシがあります。
他人同士がわかりあうためには、とにかく話し合うしかない
この夫婦は、自分の心の中の本音を相手にぶつけていないのが不和の一番の原因と思われます。
血のつながった肉親でも、相手が何を考えているのか本当のところはなかなかわからないもの。ましてや、夫婦は血のつながらない、元・他人同士。しかも、男と女。サラリーマンと専業主婦。特性も立場も違うのですから、そうそう簡単にわかりあえなくて当然なのです。
ならばこそ、日常的に自分の思いを伝え合い、少しでも溝を埋めるべくコミュニケーションを重ねるしか方法はありません。これを怠ってしまうと、時間が立てばたつほど溝は深まっていき、夫婦がわかりあうためのハードルは上がるばかりです。
夫婦円満の秘訣は、日頃からの小まめなコミュニケーションの積み重ね。当たり前の話ですが、これに尽きると思うのです。
今回紹介したコミックエッセイは、下記サイトで一部試し読みができます。