小説「古典部シリーズ」のファンブックとも言うべき「米澤穂信と古典部」を買いました。思ってたよりずっと濃い内容で満足行く一冊でした。
<古典部>シリーズ15年の歩み
「古典部」シリーズの歩みを振り返るコーナー。
個人的に印象的だったのが折木奉太郎が省エネ主義になった理由です。シリーズ通しての探偵役である折木は、謎を解明するためにも他人の心や事情に土足で足を踏み入れる必要があります。探偵ならば避けては通れない道。
しかし、折木は一介の高校生です。
嬉々として探偵の真似事をするような(他人の心にズカズカと踏み込むような)ことはさせたくないので、事件や謎に関わる前にワンクッションためらいを持たせたい。
そんな作者の親心(?)で、「積極的に事件に関わろうとしない」動悸付けとして「省エネ主義の折木奉太郎」が生まれた、ということだそうです。米澤さん優しい・・・
短編「虎と蟹、あるいは折木奉太郎の殺人」
20ページほどの短編小説。
中学時代に折木が書いた読書感想文にスポットの当たる話です。折木の読書感想文は長編「ふたりの距離の概算」でも走れメロスを題材にしたものが出てきましたが、折木もなかなかどうして、結構文才があるというか折木独特の分析力に唸らされます。
この短編中では「山月記」「さるかに合戦」の読書感想文が披露されますが、先述した「走れメロス」や今回の「山月記」と比較して、「さるかに合戦」の読書感想文のクオリティがやや低め。というか、どことなく不自然。
その理由が判明したとき、折木の意外な一面がわかってほっこりします(笑)
対談集「米澤穂信とミステリ作家」
米澤さんとミステリ作家さんとの対談集です。
対談相手は、 北村薫さん、恩田陸さん、綾辻行人さん、大崎梢さんの4人。正直僕はあんまりミステリー詳しくないので、4人とも名前をちらっと聞いたことがある程度ではあるんですが・・・
ただ、米澤さん含めて5人とも熱量がすごい!かなりディープな話題にも切り込み、ミステリーに対する熱い思いを語り合っています。
<古典部>の世界
- 主要登場人物データ
- 著者による<古典部>シリーズ全解説
- <古典部>隠れネタ大公開!!
- 米澤先生への30の質問
- 古典部メンバー4人の本棚大公開
等々、古典部シリーズの熱心なファンであればよだれを垂らしそうなディープネタの数々が白日の下に晒されています。
特に、「<古典部>隠れネタ大公開!!」の細かすぎる隠れネタの数々は必読です!
米澤穂信の作られ方
米澤先生の今までの歩みを振り返りつつ、今日のミステリー作家「米澤穂信」はいかにして形作られたのかが明らかになります。
「小説なんて書いて何の役に立つのか」に対する米澤先生のアンサーが深いです。
【余談】アニメ二期を熱望
アニメ「氷菓」が京都アニメーションによって製作されてから、早6年になります。アニメの二期はまだなんでしょうか・・・というか、そもそもあるんでしょうか。私、気になりまs(以下自粛)。
未映像化エピソードとしてストックされているのは、今のところ長編「ふたりの距離の概算」と短編集「いまさら翼といわれても」のみ。
もう一本くらい長編(えるの進路についてのエピソードとか、えると折木の関係の進展とか、を希望)があれば、なんとか2クールのアニメにできそうな気はします。・・・ちょっと足りないかな?
この際1クールだけでも良いので、作ってほしいなぁ・・・
アニメ「氷菓」の第一期(二期作られること前提の表現w)はU-NEXT で31日間無料で見放題です!*1
*1:2018年9月時点のデータです