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【銀河英雄伝説】帝国領侵攻時の大惨敗は、ヤンにも責任がある

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3000万人もの兵力を投入しながら大惨敗を喫し、2000万人の犠牲を出した「帝国領侵攻作戦」。これによって帝国と同盟の軍事力・国力には大きな差が出来てしまい、後の同盟滅亡の遠因にもなっています。

 

帝国領侵攻を決定した最高評議会、無謀な作戦を立案したフォーク准将、そしてその作戦を追認したロボス元帥。このあたりの面々に大部分の責任があり、ヤンは全軍壊滅を防いだ功労者、というのが一般的な見方かと思います。

 

たしかにヤンは戦場では最善を尽くしたかもしれませんが、ヤンにもこの敗戦の責任の一端があると考えます。

 

 

最大の敗因は、戦略目標が曖昧すぎたこと

本編には、帝国領侵攻に際して統合作戦本部長シトレ元帥、宇宙艦隊指令長官ロボス元帥、各艦隊の提督たち、作戦参謀など同盟軍の主要幹部が集まって作戦会議を開くシーンがあります。

 

そのさいウランフ提督が、この作戦の戦略上の目的を質問します。作戦参謀のフォーク准将はその質問に対し、

 

「帝国領土の奥深く進入する。それだけで帝国人どもの心胆を寒からしめることができましょう」

 

とドヤ顔で答えます。「では、侵攻だけして何もせずそのまま引くのか?」とウランフ提督が重ねて質問すると、フォーク准将はまたまたドヤ顔で、

 

「いえ、高度な柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処することになります」

 

などと、理屈っぽい中学生が言いそうな、大層なことを言っているようでその実何も言っていない回答を返します。無能な人間はとことん無能に描かれることで定評のある銀河英雄伝説ですが、その中にあってフォーク准将は特に酷いです・・・ウランフ提督の「もっと具体的に言ってくれ、さっぱりわからん」というボヤキも無理からぬこと。

 

本作戦の敗因のひとつとして「補給の失敗」が挙げられますが、そもそも戦略目標が曖昧すぎたのが根本原因です。確たる戦略目標も定めぬまま「高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に」軍を動かすものだから、補給線は伸びきり、必要な補給量もどんどん増えていき、そもそもそれもいつまで必要なのかもわからない。

 

補給担当のキャゼルヌが「これでは補給計画なんて立てようが無い」と愚痴るのも当然の話ですね。 

 

 

「侵攻時期」の是非を議論しても仕方が無かった

ウランフ提督が作戦内容の曖昧さを指摘し、ビュコック提督が「ようするに行き当たりばったりということか」と皮肉たっぷりに援護射撃。フォーク准将はこの時点で若干面白く無さそうな表情。

 

このまま戦略目標を具体的に定める、という方向に議論を進めていればよかったんですが、この後ヤンがした質問は、

 

「侵攻時期を今の時点に定めた理由を聞かせて欲しい」

 

というものでした。

 

今回の出兵自体に反対だったヤンがこの質問をぶつけたかった気持ちはわかります。しかし、帝国領侵攻自体は最高評議会で政治家が決定したものであり、ヤンたち軍人に許された裁量は作戦の詳細をどうするか、という部分のみであったはずです。

 

帝国領侵攻時期の是非(あるいは、帝国領侵攻そのものの是非)をここで延々議論したところで覆るものでもありません。

 

ヤンがすべきはウランフ提督、ビュコック提督が作った流れに乗って、作戦の具体的な内容についてもっと深堀りし徹底的に議論することだったはずです。話の流れが変わってしまい、結局そのあたりは議論が深まることなく会議は終わりました。

 

帝国軍と同盟軍の質・量の差を考えれば苦しい戦いには違いなかったでしょうが、せめて、

 

「イゼルローン回廊の帝国領出口付近の星系を2つか3つ占領し、今後のための足がかりとする」

 

とかなんとか、それなりに具体的で実現可能性のありそうな計画があれば、もう少しマシな結果になった気がします。少なくともあれほどは惨敗しなかったんじゃないかと。

 

昔銀河英雄伝説のアニメ観たときもこの場面ちょっと納得いかなかったんですが、最近、銀河英雄伝説の新版「銀河英雄伝説 Die Neue These」を観て改めてモヤっとしました。

 

 

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