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ちきりん氏とウメハラ氏の対談本「悩みどころと逃げどころ」感想。両極端な2人によるガチンコ対談が面白い!

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社会派ブロガーのちきりん氏と、プロゲーマーの梅原大吾氏(以下、ウメハラ氏)の対談本「悩みどころと逃げどころ」を読みました。

 

 

 

月間200万ページビューの社会派ブロガーちきりん氏と、世界一のプロゲーマー梅原大吾氏の異色人生対談。

立ち位置も考え方もまったく違う二人が、足かけ4年、100時間にもわたって語り合い、考え抜いた人生談義。

学校で真面目に勉強してきたのに競争社会で行き詰まっている人、やりたいことが見つからなくて悩んでいる人必読!

 

一流大学、一流企業に入りながら、自らレールを下りて社会派ブロガーとなったちきりん氏。

勉強や学校が大嫌いであがいて回り道をしながら最終的にプロゲーマーとなったウメハラ氏。

 

真逆の人生経験を積み重ね、価値観も異なる2人による対談。まったく展開が読めません。

  • 「学校に行く意味はあるのか?」
  • 「結果とプロセス、どっちが大事?」
  • 「お金がすべてじゃない?」

など、9つのテーマについて語り合っています。

 

読んでて特に気になったいくつかのテーマについて感想を書きます。

 

 

ちきりん氏「学校って行く意味ある?」ウメハラ氏「大アリですよ!」

最近フリーランス界隈で、

「大学って行く意味なくない?」

という話題で盛り上がってたりしますが、ちきりんさんもまた「大学とか学歴とかって不要じゃない?」派のようです。

 

面白いのが、一流大学出て一流企業に就職したちきりん氏が学校の意味を疑問視し、高卒でプロゲーマーをやっているウメハラ氏が「いやいや、学歴は超意味ありますよ!」と主張している点。

 

ウメハラ氏は、

「レジのお金が無くなったときに、学歴のない人間が真っ先に疑われた」

という屈辱的な経験をした過去があり(これにはちきりん氏も驚いてました)、学歴がないばかりに周囲の人間に見下されることが多く、そういった経験の積み重ねが「学歴は重要でしょ!」に繋がっているようです。

 

ウメハラ氏は続けて、

「自分が学歴なくても何とかなっているのはたまたまゲームの才能に恵まれていたから。特別なスキルや才能のない人はとりあえず大学にいったほうが良い」

と話していますが、これは僕もほぼほぼ同意です。

 

結局ちきりん氏のように「学歴なんて不要」と主張する人たちは、世間の人間の能力を過大評価しすぎだと思うんです。世間の大多数の人間は何者でもない凡人なわけで、今の学歴社会においては、良くも悪くも学歴は自分を守る盾になりえます。

 

ドラクエとかのRPGで例えるならば、

  • 特別なスキルや才能:武器
  • 学歴:鎧や盾などの防具

と考えることができます。

 

相手を一撃必殺できるだけの武器(能力)があれば、「防具(学歴)なんてお金ばかりかかって大変だから要らないよ」と言えるかもしれませんが、そういった武器を持たない人にとっては防具を完全無視するわけにはいきませんよね?

 

ジブリ映画「耳をすませば」で、勉強を半ば放棄して好きなことに打ちこもうとしている娘に対して父親が、

「人と違う人生は結構しんどいぞ。誰も守ってくれないからね」

と忠告するシーンがありますが、まさにこれなんですよね。「人と同じ」というのはつまらない生きかたに映りがちですが、人生に対する防御力は高まるんですよ。この点に関して、僕はウメハラ氏の意見に同意ですね。

 

 

「学校に行く意味」というテーマでは意見が真っ向からぶつかったちきりん氏とウメハラ氏ですが、

「学校の教育内容は無意味なものが多い」

という点では2人とも一致していました。実際、学歴を推すウメハラ氏も学校の授業は退屈すぎて寝てばかりいたそうですし。

 

僕も、例えば清少納言の枕草子とか、何故丸暗記する必要があったのかは未だにわからないんですよね。随筆内容を分析したり感想を考えるならばともかく、暗記する必要ってありますかね・・・?

 

 

ちきりん氏「なにより結果が大事!」ウメハラ氏「ん?結果よりプロセスですよ」

「ビジネスの世界は結果がすべて。だから結果こそが何よりも大事!」

と主張するちきりん氏に対し、ウメハラ氏が

「結果だけを追い求めていては長続きしない。勝ち続けるためにはプロセスを大事にしないといけない」

と反論しています。

 

ゴールが1つだけなら良いですが、ゴールの先にもまだゴールがあるなら(そしてそれを追い求めるなら)、結果のみを求めるやり方では長続きしない、というのがウメハラ氏の持論のようです。

 

意味合いは多少異なりますが、プロ野球の野村克也氏も、

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」

という名言を残していますが、一度結果を出したからと言って再現性があるとは限らない(また同じように勝てるとは限らない)、その勝ちは「不思議の勝ち」かもしれない、だからこそプロセスは重要です。

 

それはそうとして、本題とは少しずれますが、ちきりん氏が「プロセスより結果」を重視するようになったターニングポイントとなる上司の言葉に少しもやっとします。

 

もしかして徹夜して頑張ったことをアピールしたいの?悪いけどここは学校じゃないから、そんなことには何の意味もないよ。資料の出来だけが問題なんだから、お前が徹夜したかどうかんて何の関係もないよ

 

社会に出ると異口同音に「会社は学校じゃないんだ、甘えるな」ってセリフ言う人多いですよね。でもこれって考えてみたらおかしな話です。

 

先述した「学校に行く意味があるの?」にもつながる話ですが、社会が「経緯よりも結果」を大事にするというのならば、学校でそのことを教えるべきだと思うんですよね。学校が社会で生きていくための訓練機関とすると、社会で通用しないやりかたを教えちゃダメでしょ。

 

ただこの場合、間違っているのは「学校」のほうなのか、「社会」のほうなのか、容易に結論が出る問題でもないですけどね。

 

 

ちきりん氏「お金じゃないのよ」ウメハラ氏「それ、クチで言うのは簡単です」

「お金目当てでゲームをやっているわけではない」ということを、何よりも自分自身に対して証明したいがために、6万ドルの賞金を寄付したウメハラ氏。

 

少しでも多くの人に自分の文章を読んでもらいたい、「儲けたい」よりも「読んでもらいたい」を優先しているからこそ、文章の有料コンテンツ化に手を出さないちきりん氏。

 

異口同音に「お金ではない」と言っていますが、これも先述した「学校」と「才能」の話に関連して、結局は強者の理屈かなと思いますね。いやまあ、たしかに「お金じゃない」を公言して実行に移すことは格好良いとは思うんですが・・・

 

ちきりん氏やウメハラ氏のようなスケールの大きい話でなくても、「お金がすべてじゃないんだよ」的なことを言う人って結構多いですよね。かくいう僕の母もそのタイプです。

 

「人生お金だけじゃない、お金だけでは幸せになれない、お金以上に大切なものがある」

が、僕の母の口癖です。確かに言ってることはある種の正論ではあります。

 

しかし、結局これって恵まれている環境にいるからこそ言えるセリフかな、と。

  • 今日食べるご飯代すらもない
  • 明日無事生きてられるかどうかもわからない

という境遇の人にとっては、お金は何よりも大事なものではないでしょうか?

 

何かしらの仕事について食い扶持を確保でき、水と安全がタダと言われるほどに快適に暮らせる日本に生まれ育ったからこそ、「お金だけじゃない」なんてセリフが言えるんじゃないでしょうか?

 

ウメハラ氏にしても確かに若い頃は苦労されたみたいですが、ゲームで食べていける道がある社会環境に生きていること、ゲームだけに没頭してもよい少年時代だったこと、この時点で世界の大半の人間よりも有利なポジションにいますしね。

 

 

まとめ

ちきりん氏とウメハラ氏、ともに破天荒な経歴や価値観の持ち主同士の対談でしたが、想像以上に楽しんで読むことが出来ました。途中読んでいるこっちがハラハラしてしまうような剣呑な雰囲気も感じましたが(笑)、それだけガチ対談だったということでしょう。

 

やはり社会的に何かしらの成功を収める人間というものは、良くも悪くも極端な価値観を持っていることが多いのだな、と再確認しました。本記事中では一読者としていろいろとツッコミも入れましたが、それも「思わずツッコミを入れざるを得ないほどの尖った価値観」を見せ付けられたとも言えるわけで。

 

ちきりん氏の本を読んだのはこれで2冊目、ウメハラ氏は初めてでしたが、他にもいろいろ読んでみたくなりました。

 

 

本書「悩みどころと逃げどころ」は、Audible(オーディブル)*1版も出ています。

 

 

Audibleは初回30日間の無料期間がありますので、ちきりん氏とウメハラ氏の対談を実質タダで聴くことができます。

 

Audibleの詳細については下記記事を参考にしてください。

 

*1:Amazonのボイスブックサービス