ドラクエ風味の格闘漫画(※個人の見解です)である「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」に登場する魔界の神にして絶対的な強さを誇る「大魔王バーン」。
強さだけではなく冷静な判断力や戦略眼にも定評のある、まさに完全無欠の存在ですが、作中で彼が側近のキルバーンに下した「バラン暗殺指令」には少し疑問が残ります。
眠れる獅子を起こしてしまった
勇者ダイ一行との決戦に備え、ダイの父親という立場から潜在的な強敵になりうる竜騎将バランを抹殺するために、暗殺のプロである死神キルバーンに命令をします。
「眠れる獅子を消せ」
(実際にはこれはバーンのセリフではなく、バーンの意を忖度したキルバーンのセリフです)
しかし結果的に暗殺は失敗したあげく、キルバーンがぺらぺらと大魔王バーンの真の目的(地上消滅)を話したために、バランは勇者ダイたちと共闘することになります。
バランがいなくてはバーンパレスに突入することは厳しかったでしょうし、仮に突入できたとしてもダイ1人では黒の結晶を体内に抱え込んだハドラーとの戦いで詰んでいました。
バランの助力によって生きながらえたダイの手によって最終的にバーンが倒されていることを考えると、その要因を間接的に生み出した「バラン暗殺指令」は失敗だったと言わざるを得ません。
監視だけに留めるべきだった
ならば、バーンはバランをどのように扱えば良かったのでしょうか?
ただでさえバラン暗殺は「お前(キルバーン)でも消せるかどうかわからん」とバーン自身も考えていたくらいで、成功確率は高くありませんでした。失敗すれば完全に敵に回すことになるのは自明の理であり、バーンとしてはバランを敵に回すことを覚悟の上での命令だったのでしょう。
しかし、再び味方につけるのは無理にしても、何もみすみす敵を増やす必要はなかったと思われます。
展開的にいずれはバランもバーンの目論見に気づく可能性は大ですが(さすがにピラァ・オブ・バーンが世界各地で落ち始めたらわかるかと)、そのときまではなるべくバランは「寝たまま」にしておくために監視程度に留めるべきでした。寝た子を起こしてはいけません。
ちょうどこのときザボエラ率いる妖魔師団は健在で、なおかつ無役でした。ザボエラ配下の悪魔の目玉にバランを監視させ、不穏な気配を見せたらその時点でキルバーンを暗殺に差し向ければ良かったと考えます。
上手くいけばキルバーンと妖魔師団でバランを挟撃できますし、倒せないにしても相当のダメージを与えられていた可能性は高いです。
バランがまだどう動くかわからない時期にキルバーン単独で暗殺に行かせるよりもよほど戦局を有利にできていた気がしますが、どうでしょうか?