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【ネタバレ注意】小市民シリーズ11年振りの新作「巴里マカロンの謎」を読んだ感想

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古典部シリーズと並ぶ米澤穂信さんの青春学園ミステリーである小市民シリーズの11年振りの新刊「巴里マカロンの謎」が発売されました!!

 

読了直後の感想をつらつらと書きます。がっつりネタバレしてますので、未読の方はご注意ください。 

 

 

 

巴里マカロンの謎

表題作「マカロンの謎」。本作のサブヒロイン的位置づけの少女・古城秋桜がキーパーソンです。

 

普段ミステリーを読んでてもなかなか犯人やトリックが当たった試しがない僕でも、この話は比較的早めに謎が解けました。

 

ティーセットを置くときに店員さんが少し回してたのもわかりやすく明示されてましたし、これ見よがしに光の反射がチラチラ当たる→ははん?コンタクト持ってる女子中学生もしくは女子高生が犯人か?って具合に。

 

謎自体よりも、終わり方の後味の悪さが気になりました。秋桜の母親が闘病中から父親が浮気してたってくだりです。

 

「他人の恋よりも、わたし、マカロンに興味津々なの」

と小佐内さんも言ってたように、僕も基本的に人の不倫だのなんだのなんていつもどうでもいいって思ってるんですけどね。芸能人の不倫ニュースとかも興味ないし。

 

ただ、その不倫によって子どもが悲しい思いをする、ってのがつらいです。自分に子どもできてからというもの、子どもが不幸になる系の話はどうにも苦手になりました。

 

 

紐育チーズケーキの謎

古城秋桜再登場。思ったより元気そうで安心しました。小佐内さんに懐いているところが可愛い。

 

この話の謎は・・・正直、わかりませんでした。

 

  • 隠し場所は裏をかいて、一番ありえなさそうな火の中かな?
  • マシュマロの箱が消えてるから、それがキーかな?

とはなんとなく思ってましたが、具体的な方法までは推理できず。「水は最大でも100℃、CDは熱に比較的強い」という点を考えれば、ああ、なるほどなというトリック。

 

あと、もう一つ読み間違えてたのが、CDの中身。

  • 思春期の男子が必死になっている
  • 学校にばれるとやばそうなもの

あたりから、僕はてっきりこの中身が「エロ動画」だと思ってたんですよね・・・w

 

パソコンを使う前の古城さんが緊張したような顔してたのも、古城さんも中身がエロ動画だと薄々気づいてて、見るのを躊躇ってたのかな・・・とか、そんな風に考えてしまってました。

 

うーん、柔道部の練習風景かぁ。序盤で「柔道部の練習試合が中止になった」と書かれてて、その時点では「ちょっとこの情報不自然だな、後で効いてくるかな?」と思ってたにも関わらず、読み切れませんでした・・・

 

 

伯林あげぱんの謎

今回の短編集で一番クオリティが高かったのはこの話ではないかと思います。読みながら、思わず唸りました。

 

あげぱんの中身が激辛タバスコだということが判明した時点で、

「そういや冒頭で意味ありげに出てきた小佐内さんは、唇腫れてたとか涙流してたとか書いてあったような。ひょっとして犯人は小佐内さん?」

とは思いました。

 

しかし、外部犯を否定する3つの根拠、

  • あげぱんは4個だけ
  • 出入りは監視されていた
  • 勝手によその部活のものを食べたりしない

が思いのほか頑強で、小佐内さんがどうやって食べたのかは、恥ずかしながらネタばらしまではわかりませんでした。

 

小鳩くんが列挙した沈黙、嘘、気遣い・・・1つ1つは取るに足らないものですが、その3つが偶然がっちりと噛み合ってしまうことによって、ああも見事に謎が完成するとは。

 

作者・米澤穂信さんの真骨頂を見せてもらった気がします。

 

 

花府シュークリームの謎

書下ろしの本作はページ数も少なめで、謎もあっさりというか、結構簡単でしたね。古城さんの写真が合成なのはすぐにわかりましたし。

 

この話は謎そのものよりも、古城さんと新しい母親の瑠璃子さんの和解話のほうが気になりました。

 

ビターな展開を得意とする米澤さんにしてはご都合主義的にあっさり和解させ過ぎた感もしますが、「巴里マカロンの謎」の感想でも書いたように、僕は子どもが悲しい思いする展開は苦手なので、ほっとしました。

 

 

総評

この本の発売を知った時は、

「短編集かぁ・・・長編の『冬期限定~』を読みたかったなぁ」

と思いましたが、読んでみて嬉しい意味で裏切られました。

 

小市民シリーズはむしろ短編のほうが話が引き締まって面白いのかもしれません。私見ではありますが。

 

ただ、ちょっと物足りないのは、推理したがり小鳩くんはともかく、小佐内さんの復讐フェチっぷりがあんまり出てなかったような・・・

 

復讐らしい復讐って、「紐育チーズケーキの謎」でCDを隠してからパソコン部に置いてきたことくらい?自分の手を極力汚さない復讐方法はさすが小佐内さんと言えなくもないですが、ちょっと消化不良気味。まあ、展開的に復讐云々にならなかった短編も多かったので仕方ないですが。

 

小佐内さんの復讐フェチっぷりの真価はまだ見ぬ「冬期限定~」まで待つほかなさそうですね。 

 

 

 

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