ただでさえ2019年秋の消費税増税で景気が冷え込んでいたところに、今度は新型コロナウィルス騒動によって株価が大暴落。
日経平均株価は2月25日~3月13日の間に20%以上も下落し、「令和大恐慌が始まる」とまことしやかに囁かれるようになってきました。
金融危機に陥った際の手堅い資産と言えば「金(ゴールド)」がまず思い浮かぶところですが、今回は今のところ金も軟調な動きが続いています。金価格が1日のうちに2%や3%も動くなんて、こんなボラティリティ(変動率)激しい金相場もあまり記憶にありません。
こんな状況においても、(一般への知名度は低いものの)不況に強いと言われる「アンティークコイン」*1ならば、手堅い資産となり得るでしょうか?
過去のデータや直近のコインオークションの結果を踏まえつつ考えてみました。
リーマンショックを乗り越えた実績
まだ記憶に新しい2008年のリーマンショック。100年に1度の大不況などと言われていました。
アンティークコインはその頃どんな値動きをしていたのでしょうか?
コイン投資の意義と相場動向 | アンティーク・コインで資産を運用する Produced by 銀座なみきFP事務所
上のグラフは、イギリスの大手コイン商が作成した「レアコイン・インデックス」*2と呼ばれるコイン指数です。
御覧の通り、アンティークコインは2008年のリーマンショックをもろともせず、堅調に値上がりを続けました。
少なくとも100年に1度の不況程度ではアンティークコインの牙城を崩すことはできなかったと言っても良いですね。
直近のオークションはやや苦戦
では、今回の株価の狂乱相場において、アンティークコイン相場は果たして影響を受けたのでしょうか?
世界的に株価が暴落を始めたのは2020年2月下旬。その直後の3月8日(日)に第9回ミントミントオークションが開催されました。
主なコインの落札価格をチェックしてみましたが、全体的に伸び悩んでいた印象です。
例えば、Lot No.156 「旧20円金貨(明治3年銘、状態:PCGS鑑定MS64評価)」。彫金師・加納夏雄がデザインした近代日本コインの最高峰に位置する金貨ですが、落札価格は585万円でした。
旧20円金貨のここ数年の落札相場は、同じPCGS鑑定MS64評価の物でみると、
- 2015年 680万円(ミントプラスオークション第7回)
- 2016年 710万円(ミントプラスオークション第9回)
と、700万円前後でした。
下落率で言えば今回の落札結果は-17%ほどになります。株価ほどではありませんが、苦戦していますね。
ただ、1回のオークション結果だけではまだ断言できないので、今後銀座コインオークションや日本コインオークションといった主要なオークションの相場動向を注視していきたいと思います。
コロナショックを乗り越えられるか?
確かにアンティークコインは今までにも幾度も不況を乗り越えてきました。しかし今回の不況の原因の1つは新型コロナウィルスの流行です。
通常の金融危機とは性質が異なるので、「不況時でもアンティークコインは鉄板」という過去の方程式を適用できるかどうかは未知数です。
逆にいうと、いまこそ資産としてのアンティークコインの真価が問われているとも言えるわけで、コインマニアの端くれを自認する僕としては是非ともアンティークコインに健闘してもらいたいところです。
関連書籍
アンティークコイン関連の書籍は何冊か出ていますが、その中でもおすすめの本を2冊紹介します。
田中徹郎氏の「最強のアンティーク・コイン投資」は比較的最近出版された本で、煽り気味の内容が多いアンティークコイン投資本の中にあって、冷静な論調での解説に好感が持てます。
柘植久慶氏の「コイン・コレクションのはじめかた」は、筆者のコインコレクターとしての長年の経験を元にコインの収集法についてコンパクトにまとめられています。金貨や大型銀貨だけではなく、マイナーコインについても詳細に解説されています。