2019年10月の消費税増税(8%→10%)を目前にひかえ、高額な買い物は増税前にすませておくべきか否かとか、プレミアム商品券だとか、そういった話題で俄然世間が賑わしくなってきた今日この頃。
そんな話題の中の1つ、
「消費税8%のときに金(ゴールド)を購入しておいて、10%になってから売却すると儲かるのか?」
について、本記事で個人的な見解を書いておこうと思います。
買値と売値のスプレッドを考えると微妙
金は買う時も売るときも消費税が上乗せされます。
つまり、消費税8%のときに金を100万円分買うと消費税込みで108万円かかりますが、消費税10%のときにこの金を売れば消費税込みで110万円となり*1、2万円の差額が出ます。
売却側は消費税を国に納税する義務がありますが、これは一定の条件を満たした法人や個人事業主の話であり、個人にはその義務はありません。
こうして、消費税増税前後の2万円の差額はそのまま利益となるわけです。
これだけ聞くと、
「今年(2019年)の9月30日に金を買って10月1日に売るだけで2%も儲かるのか、お得じゃん!」
と思うかもしれません。
ただし、この計算からは売買金額の差額(スプレッド)が漏れています。
田中貴金属や三菱マテリアル等の業者と金売買の取引をする場合、買値と売値には差があり、これをスプレッドと言います。
例えば、2019年8月27日時点の田中貴金属の1グラムあたりの地金価格相場を参照すると、
税込小売価格:5,637 円
税込買取価格:5,552 円
となっており(田中貴金属工業株式会社|日次金価格推移より引用)、小売価格と買取価格との間には85円の開きがあります。
これは比率にすると約1.5%ほどです。つまり、実際の利益は約0.5%ほどになってしまうということです。
仮に金を100万円分購入しても、5千円程度の利益です。しかもここに日々の金価格の変動が加わります。1日20円程度、率で言えば0.3%程度は普通に動きます。
相当大きな金額を動かせるならともかく、僕ら庶民が例えば100万円程度の資金をこのタイミングで投じたとしても、旨味はあまり大きくありません。
そもそも金投資は儲けるつもりでやらないほうがいい
そもそもの話として、金を「儲ける」つもりで売り買いするのってあまり上手くない気がします。
金の現物を買ったとしても、自宅保管だと火災リスクや盗難リスクがありますし、業者に預かってもらうとしても手数料がバカになりません。金ETFも信託報酬が取られますし*2。
配当や利子、家賃収入といったインカムゲインを生まない金は不毛の資産であり、持っているだけでも維持費がかかります。
それを理解した上で、あくまで世界の金融市場が混乱した場合の保険として持っておく、という意識が大事かと思われます。実際、米中貿易摩擦などを原因としたここ最近のリスク回避の流れで、金価格はどんどん上昇しています。有事の金の本領発揮ですね。
結果的に儲かることはあっても、純金資産はあくまで保険。それを忘れないようにしたいです。