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スレイヤーズ新シリーズ開始!17巻「遥かなる帰路」を読んだ感想

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まさかあるとは思ってなかった、スレイヤーズファン待望の「本編第三部」

 

去年の「ファンサービス仕様のオールスター特別編」を除くと、実に第二期終了から19年ぶりの本編になります!!

 

第二期を読んでいたころは学生だった僕も、今では二児を育てる中年のおっさん。子どもの世話や妻の相手を終えて、深夜こっそりと読み終えましたw

 

読了直後の感想をつらつらと書きます。がっつりネタバレしてますので、未読の方はご注意ください。

 

 

 

異世界転生モノ

第三部は魔族の結界の『外』の世界が舞台になる、というのは前情報として知ってました。

 

魔族にとって相性悪すぎるリナ・インバースと関わりたくない覇王麾下の高位魔族が嫌がらせと気まぐれ(本当に理由がそれだけかはまだわからないけど)でリナとガウリィを外の世界に飛ばしてしまう、という突拍子の無い展開もスレイヤーズらしさ全開です。

 

ただ、『外』の世界が舞台になるといっても、せいぜい

  • リナ・インバースの勇名(悪名)が轟いていない世界
  • 火竜王とか空竜王とか、神様の力を借りた魔法を使えるようになる

程度かなと思ってて、これはこれで楽しみだったんですが、まさか今流行りの(?)

 

異世界転生モノ

 

が始まるとは予想外でしたw

 

リナは『中』の世界でも超一流と言っても差し支えない魔道士ですが、魔術がほとんど発展していない『外』の世界では、まさに魔術無双。

 

ちょっとした術を使っただけで感嘆と畏怖を一身に集めてしまったリナが、

「え、なんで火炎球くらいで驚いているの?こっちの世界では割と普通なんだけど?」

的な、まさに異世界に転生した主人公が俺SUGEEEEE状態で言いそうセリフを発してしまいましたw

 

ただ、何故『外』の世界では魔術が発展していないのか(一部の宮廷魔術師くらいしか使えないとのこと)。疑問が残ります。

 

魔術の結界内で魔族が出現しまくりの『中』とは違い、比較的な平和な『外』では魔術の研究をする必要性に迫られなかった、ということですかね?

 

その割にはリナの魔術を目の当たりにしたルジルテ王国の面々が、積極的にリナを抱え込もうとするなど、戦力的な意味での魔術への関心は高そうなんですよね。主に、人間の国同士の覇権争いのため、でしょうけど。

 

まあ、そのあたりは追々あきらかになっていく・・・のかな?

 

 

新たな仲間ラン

新しいシリーズが始まれば当然新しい仲間が登場するのが世の理(ことわり)。

 

今回その役目を負ったのは「ラン」というキャラですが、登場シーンの軽さからてっきりチョイ役かと思ってたら、がっつり仲間ポジションになっちゃいましたね。

 

天真爛漫なゆるふわ系(?)キャラというのは正直個人的には微妙なんですが、

  • ゼルガディス(お茶目系クール)
  • アメリア(暴走正義娘)
  • ルーク(リナ並みに口の悪い恋に生きる男)
  • ミリーナ(知的クール美人)

という過去のレギュラークラスの仲間たちとキャラも被ってないし、まあ悪くないかな、と。

 

  • 他の竜王の力を借りた魔法(白魔術?)を使える
  • 棍(=すごい棒)使い

と、戦術的な意味でリナがガウリィとのコントラストも良いですしね。

 

 

シリアス路線かギャグ路線か

今回の巻で途中まで懸念してたのは、

「本編第三部はシリアス路線か、それともギャグ路線か」

という点です。

 

今までの本編は多少のギャグがあるものの基本はシリアスな展開が主でした。

 

ところが今回は、やたらやる気の無さそうなノリの軽い高位魔族が出てくるわ、新たな仲間のランもテンションおかしいわで、どうにもすぺしゃる(短編)のようなギャグ路線のような匂いがプンプンとしたんですよね、中盤くらいまでは。

 

ギャグ路線がダメってわけじゃないんですが、やっぱ本編は決めるべき時は決める緊張感のようなものが欲しい、というのが個人的な意見でして、第三部もそうであって欲しいという思いがあります。

 

ただ、終盤では問答無用で敵も死んでるし、このままシリアス方面にシフトしつつ話が進むといいなぁ、と思う所存であります。

 

 

第三部最初の敵の強さ

第三部1作目の敵キャラは知性ある竜族3体。

 

呪文詠唱が人よりも短かったりブレス吐いてきたりと手ごわい相手ではあったものの、数々の修羅場を潜り抜けてきたリナたちが絶望的な状況に陥るほどの相手、というほどでもない。描写見る限り、この竜族たちの強さは純魔族(下級) くらい、という印象でした。

 

本編第一部はいきなり1巻で魔王を倒したのに、次の巻の敵は下級魔族セイグラム、第一部ラストの敵が魔王の腹心・・・という流れの歪さがありましたが、今回の敵は最初の相手としてはまあまあ妥当な強さだった気がしますね。

 

問題は、今後どのような敵と戦っていくかです。流れ的にはこのまま真神教(ネオスフィード)との戦いが続きそうな感じではありますが、いくら竜族がブレス吐けたり人よりも強大な魔力を持っているといっても、高位魔族と比べると訳者不足感は否めません。

 

となると、第三部でもどこかで魔族たちが絡んでくるのか、あるいは全く異なる『何か』が出てくるのか・・・今後の展開に注視したいですね。

 

あとは神坂一先生が速いペースで出してくれれば言うことなし!w

 

半年に1冊とは言いませんが、1年に1冊くらいのペースでどうにかお願いしたいところであります。 

 

 

 

 

【余談】作中で使われた銀貨について

以下、マニアックな余談なので、金貨とか銀貨に興味の無い人は読み飛ばしてください。

 

見知らぬ国に飛ばされたリナ達が通貨が違って代金を支払えないという状況になり、

「金貨や銀貨は材質そのものに価値があるので、国や通貨が違っても通用する」

という理屈で、銀貨で支払って銅貨の御釣りをもらう、というシーンあったじゃないですか。

 

あそこちょっと疑問に思ったんですけど、確かに『銀』そのものには価値があるので上記理屈は一応成り立ちますが、『銀の純度』って問題にならなかったんですかね?

 

銀の量目は大きさからある程度わかるにしても、銀の純度は見かけだけじゃわからないじゃないですか。例えば重さが同じで純度60%の銀貨1枚と純度の銀貨1枚があったとして、価値は1.5倍くらい違うわけで。

 

神坂一先生はそのあたりどう考えてるのかなと思ってたら、後書きに

「通行手形を使うシーンとかも設定上考えていたけど、物語の面白さにプラスにならないので省略した」

みたいなことが書いてあり、納得しました。

 

うん、確かに銀貨の純度がどうのと、そのあたりのことは物語の本筋に関係ないし、こだわっててもつまらなくなるだけですよね・・・さすが神坂先生、見事な割り切り!w

 

 

ファンタジー世界の金貨だの銀貨だのに興味のある人は下記記事も読んでみてください。 

www.ishikihikui-kei.com