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私の戦闘力は53万マイクロです

農夫のおっちゃんの10分の1程度の戦闘力で適当に生きる、意識低い系サラリーマンのブログ

セクハラの定義や、過去の裁判の判例を調べてみました

セクシャル・ハラスメント(性的嫌がらせ)、いわゆるセクハラは、被害者の人生はもちろん加害者の人生も大きく狂う可能性があり、何かの間違いで加害者になってしまわないように気をつけたいものです。

ただ、セクハラの線引きと言うか定義ってあまり知られていない気がします。僕も「性的な事柄で、相手が不快に思うかどうかがミソ?」というふわっとした理解度です。

清く正しく美しい人生を歩むためにも、今回はセクハラの定義や過去の裁判の判例などを勉強がてら調べてみました。

 

 

セクハラの定義は?

Wikipediaには以下のように書かれています。

職場・学校などで(法的な取決めがあるのは職場のみ)、「相手の意思に反して不快や不安な状態に追いこむ性的なことばや行為」を指す。例えば、「職場に限らず一定の集団内で、性的価値観により、快不快の評価が分かれ得るような言動を行ったり、そのような環境を作り出すことを広く指して用いる」といった性別を問わない用例である。

セクシャルハラスメント - Wikipedia

セクハラが成立する要件として、

  1. 性的な言葉や行為
  2. 相手の意思に反している
  3. 相手に不快や不安を与える

この3つが必要と言うことですね。「1.性的な言葉や行為」に関しては客観的な指標が比較的はっきりしていますが、難しいのは「2.相手の意思に反している」「3.相手に不快や不安を与える」という点ですね。この2点は相手の主観によるものが大きいので、「こっちはそんなつもりで話したんじゃなかったのに、これセクハラになるの!?」といった悲劇を招きがちです。

セクハラに限った話ではなく、相手の立場に立って考える、相手の気持ちを尊重するということができるかどうかが肝要ですね。

 

今回調べて初めて知ったのですが、セクハラには大きく分けて2つのタイプがあるようです。

対価型セクハラ
職場や学校などにおける立場・同調圧力・階級の上下関係と自身の権限を利用し、下位にある者に対する性的な言動や行為を行う(強要する)こと。

  • 酒席で、異性に酌を強要すること。
  • 学校で、教師としての立場を利用して、教師が学生(または学生側の者)に、猥褻行為・性行為・愛人契約の強要すること。
  • 就職活動で、利害関係を利用して、求人側の担当者(または求人側の関係者)が求職者(または求職者の関係者)に、性行為や猥褻行為の強要すること。

セクシャルハラスメント - Wikipedia

 

ひとつめは「対価型セクハラ」。立場や権力などを利用して、相手に性的な行為などを強要することですね。最近も面接官の立場を悪用して就活生に関係を強要したニュースが話題になりました。

参考

DeNA採用担当者が就活女子大生をホテルに連れ込み | 文春オンライン

 

対価型セクハラは「セクハラとは思わなかった」では到底済まされない、悪意の強いタイプですね。

 

もうひとつは、環境型セクハラ

環境型セクハラ

  • 女性従業員による、女子トイレや休憩室、男性従業員の前などにおける本人及び他人を含めた男性の容姿や恋人関係などに関する噂話。
  • 男性従業員による、男子トイレや休憩室、女性従業員の前などにおける本人及び他人を含めた女性の容姿や恋人関係などに関する噂話。
  • 職場や学校、商業施設などで、ヌードカレンダー、水着ポスター、ポルノ雑誌、お色気漫画など、人によっては不快感を起こすものの掲示や陳列、性的な冗談、容姿、身体などについての会話。

セクシャルハラスメント - Wikipedia

こちらは知らず知らずのうちにセクハラに該当する行為をしてしまっていた、などという事例もありそうです。

特に恋愛関係の噂話などと言ったものは老若男女問わず好きな人が多いので、ついつい話や噂がエスカレートして、誰かを傷つけてしまう、などということにもなりかねません。最低限の節度は保ちたいものです。

 

日本初のセクハラ裁判

いまやセクハラ事件による裁判は珍しいものではなくなりましたが、では日本初のセクハラ裁判はどんなものだったのでしょうか?

1989年に行われた裁判が初事例のようです。意外と歴史が浅いですね。

1989年8月に福岡県の出版社に勤務していた晴野まゆみが上司を相手取りセクハラを理由とした日本初の民事裁判を起こした。職場を舞台にした上司と部下との間で起きた事件ということで普遍性があり、これまで日本の職場でセクハラと意識されず、何気なく行われて来た女性に対する行為や発言がセクハラになるのかといった身近な話題となり、テレビや雑誌で盛んに扱われた。こうして、1989年の新語・流行語大賞の新語部門・金賞を「セクシャルハラスメント」が受賞。

セクシャルハラスメント - Wikipedia

 

当時はセクハラと言う言葉自体新鮮なものだったらしく、その年の流行語大賞にも選出されています。そういえば、小学生の頃テレビでそんな話題で騒いでいた記憶がかすかにあります。

1989年と言えば、男女雇用機会均等法が施行されてから3年後。女性の人権を守る機運が社会全体で高まりつつあった時代ですね。 

 

対価型セクハラの裁判例

原告はホテルのフロントで会計係として働いていた女性で、被告はその上司の会計課長である。 被告は仕事の後、原告を食事に誘い、その帰途の車中で「モーテルに行こうよ。裸を見せてよ」と執拗に誘い、原告に拒否されたにもかかわらず、一方的に原告の腰などに触れ、キスを強要するなどした。その結果、原告は体調を崩し退職を余儀なくされた。

セクハラの裁判例 vol.2 | セクハラ110番

典型的な対価型セクハラですね。上司と部下と言う関係を利用し、相手に性的行為を強要しています。第三者からすると「そんなのセクハラなんだから、ビシっと撥ねつけて訴えてやればいいんだよ」とも思えますが、実際当事者になるとなかなか容易にはいきません。純粋な恐怖感もあるでしょうし、下手な断り方すると仕事上で不利な立場に置かれるかも、という思いもあるでしょう。

この裁判は結局慰謝料請求599万円(弁護士費用込み)に対し、勝ち取れたのは110万円(弁護士費用込み)。相手の人格を無視した卑劣な行為であることを考えると安すぎるくらいですね。

 

環境型セクハラの裁判例

雑誌社(Y2)の編集長(Y1)が、パートとして入社し、その後能力・経験を買われ正社員になったXに対し、(Ⅹの能力に対する)嫉妬等の感情から社内の関係者にXの私生活、ことに異性関係が乱脈であるかのようにその性向を非難する発言をした。
 また、Xの異性関係の個人名を具体的に挙げて(それらすべて会社関係者)会社内外の関係者に噂を流布した。
 上司であるB専務に報告し、Xを退職に追い込んだ。

セクハラ裁判例

こちらは環境型セクハラ。被害者の異性関係についてあることないこと社内に流布し、被害者を退職に追い込んでいます。環境型セクハラには加害者の側に積極的な悪意が無い場合もありますが、この事例は動機が(仕事ができることに対する)嫉妬、しかも相手を退職に追い込むまで執拗に嫌がらせを続ける、と非常にタチが悪いです。

原告側が弁護士費用含め367万円を請求しますが、実際に勝ち取れたのは弁護士費用含め115万円。

退職を余儀なくされるまで追い込まれたことの慰謝料が115万円と言うのは、あまりにも安い。金額だけではなく、被害者のその後のケアなども国がフォローする体制を強化してもらいたいものです。

 

原告が敗訴した裁判例

ここまでは原告側が勝訴した事例を挙げましたが、原告側が敗訴した事例も併せて紹介しておきます。

被告(セクハラした人)

営業所長

原告(セクハラされた人)

事務員

抱き寄せたり、胸に触ったり、無理やり口を開けさせ、舌を中に入れようとしたり、腰を密着させ上下に動かし、指を股間に入れるなどした。会社に訴えたら仕事をさせないなどの嫌がらせを行い、退職に追い込まれた。

セクハラ慰謝料請求訴訟。敗訴判例 【労働どっとネット】

 仕事上の立場を利用した対価型セクハラですが、この件は証拠不十分となった模様。有力な目撃者がいない状況では、実証するのが難しいこともあるのでしょう。

また、この事例がどうだったかについてはわかりませんが、何らかの腹いせや復讐のためにセクハラをでっち上げて訴える冤罪的な事件も多く、当事者の主観に頼らざるを得ない性質上、見極めが難しそうです。

なお、「疑似恋愛セクハラ」と「腹いせセクハラ訴え」の区別は難しい。前者は部下の好意があると誤解した上司が起こすセクハラ、後者は、上司から叱られたり振られたり上司が他の部下とも仲よくしていることを知って不愉快になってから、腹いせとして親しかった当時の合意の上でのことを一方的なセクハラであるとでっちあげる訴え

セクシャルハラスメント - Wikipedia

 

セクハラ加害者にならないためにはどうすればいい?

対価型セクハラはともかくとして、環境型セクハラは気の緩みなどから意図せず加害者となってしまうこともあるかもしれません。自分の言動が社会的にみてどう位置づけられるか、この言動を取ると相手がどう感じるか、常に自己チェックするくらいが望ましいですね。

ただ、前述したように相手を陥れるための虚言だったり、気に入らない相手を大人しくさせるために「セクハラ」が便利な言葉として使われることも多々あるようで、こういう事例があると本当のセクハラ被害者が名乗り出にくくなってしまいます。このあたりは痴漢犯罪と痴漢冤罪の関係にも似たところがありますね。

セクハラ調査や裁判の発展が望まれますが、セクハラ判断がどうしても主観に頼らざるを得ないものである以上、なかなかに難しい問題です。

判例で理解する職場・学校のセクハラ・パワハラ: 実務対策:どんな事案がどう判定されたか