アラサー男女のダブル不倫を描いた漫画「ホリデイラブ~夫婦間恋愛~」が面白くておすすめです。一見少女マンガ風の綺麗な絵柄で読みやすいんですが、内容はかなりのドロドロ具合・・・
印象に残ったシーンやセリフの感想を書きます。 ネタバレありますので、未読の方はご注意ください。
Kindle版の1巻はKindle Unlimited(AmazonのKindle電子書籍読み放題サービス)対象となっており*1、加入者は無料で読めます。
Kindle Unlimitedは月額980円で加入できるため、月に数冊読めば元が取れておすすめです!
- あらすじ
- 「いいダンナだなーと思って」
- 「天然そうな女ほど実はしたたかだったりするんだよね」
- 「女としての自信をなくしてしまう」
- 「2人ともリビングでセックスの真っ最中でした」
- 「待たせないでくださいね」
- 「終わりよ あたしたちも」
- パパとママの手をそっとつなぐ七香
- 「パパ・・・次のお休みも帰ってくるよね?帰ってきてね」
- 「私は・・・このままこの子から父親を奪ってもいいのか・・・」
- 「この世に取り返しのつかへんことなんてあらへんで。命がなくなること以外は」
- 「ごめんねこんなママで。でも・・・あきらめたくないよ」
- 「悲しいね・・・恋愛が始まるときは2人の意思が必要なのに、終わる時は一方だけの意志でいいんだもんね・・・」
- 「やっぱり私が一番包まれたいのは、この人だ」
- 「裏ではこんなことしてて・・・怖いなって思いました」
- 里奈の暗い反撃。窓に小石をコツン!
あらすじ
純平と杏寿はどこにでもいそうな仲睦まじい夫婦。杏寿は純平との夜の生活がご無沙汰気味なことにやや不満を感じつつも、平凡な日々に幸せを感じながら過ごしていました。一方、岐阜に単身赴任中の純平は、ほんの気の迷いから出会い系に手を出してしまい、そこで知り合った既婚女性・里奈との仲を深めていきます。
ダブル不倫の泥沼の終着点やいかに・・・?
「いいダンナだなーと思って」
杏寿「いいダンナだなーと思って」
第1話「月曜2時に」より
自分の仕事の大変さをさておき、妻の杏寿の苦労を労う夫の純平。思わずニコッとしてしみじみと「良いダンナだ」と返す杏寿。ありふれた日常生活の幸せな1コマ。
だけど、この時点で夫の純平は既に(身体の関係は未だだけど)不倫の泥沼に片足を突っ込んでいるわけでして。
これから始まる底無し沼のようなドロドロ不倫地獄との対比として、印象深い冒頭シーンです。
「天然そうな女ほど実はしたたかだったりするんだよね」
杏寿「天然そうな女ほど実はしたたかだったりするんだよね。言っとくけどあたしは浮気は絶対許さないよ。わかった時点で即離婚だからね」
第2話「723件のメッセージ」より
ふとしたことから、夫の純平のメール件数が異様に少ないことに気づいた杏寿。「まさか都合の悪いメールを消している・・・?」
そんなとき、夫の会社の事務の女の子(既婚)から、夫宛に何気ない世間話メールが送られてきます。「なんで会社の人間からこんなメールがいちいち送られてくるの?そこまで親しいってこと?」先刻のメール件数の不審もあり問いただす杏寿に、純平は「人懐っこくて天然なだけ。」と返しますが、杏寿は疑念を捨てきれず「天然な女ほど実はしたたかだったりするんだよね。」とチクリ。
実はこの発言が本質をついていたことが後ほど明らかになるんですよね・・・杏寿の女の勘、侮りがたし!
「女としての自信をなくしてしまう」
杏寿「大切なのは家族なんて言葉が欲しいんじゃない。杏寿しか愛してないって言って。その女とはただのアソビだって。でなきゃ女としての自信をなくしてしまう」
第3話「食い違い」より
出張中の純平が、夜中に他の女の家(しかもその女の夫は不在中)に行っていたと判明した直後。身体の関係は無いと主張する純平ですが、杏寿は激しくショックを受けます。
「自分はもう夫にとって『女』ではないのでは?だから若い女に走ったんじゃないのか」との想いをぬぐいきれない杏寿。しかも、実は身体の関係も持っていたことがこの後判明し、さらなるショックと怒りに震えることになります・・・
「家族として」の愛よりも、まずは男と女として、妻として自分が愛されていることを実感したい。そんな杏寿の悲痛な叫びを感じます。
「2人ともリビングでセックスの真っ最中でした」
井筒渡「おたくのご主人とうちの里奈は2人ともリビングでセックスの真っ最中でした。ゴミ箱には使用済みコンドームが捨ててありました」
第3話「食い違い」より
「相手の女性とはリビングで話していただけで、身体の関係は無い」と主張する純平。「身体の関係が無いのなら」と許す方向に傾いていた杏寿の心をズタズタに引き裂く、相手方の旦那からの電話。
Web広告でも使われていたこの場面は読者にとっても杏寿にとっても非常にインパクトが強く、杏寿の心が一気に「離婚」の2文字への傾斜を強める契機となります。
「待たせないでくださいね」
里奈「アドレスを教えちゃうとこれから純平さんからの連絡を本気で待ってしまうから・・・でも教えます、これが番号とアドレスです。待たせないでくださいね」
第6話「回想編~深み~」より
少し時を遡って、回想編。
出会い系での里奈とのやり取りでときめきを覚えていく純平。よせばいいのに、相手からの誘いに乗って直接会ってしまいます。
別れ際、今後は出会い系を通じてではなく携帯メールでやり取りしないかと提案する純平に対し、里奈は最初は拒否反応を見せてからの、相手への恋慕表現。計算でやってるなら相当に強かな女性だし、天然ならなお恐ろしい。可愛い系アラサー美人からこんな駆け引きを食らわされて、冷静を保てる男もなかなか居ないかもしれません。
里奈は天性の異性惹き付けスキルの持ち主という感じですね。
「終わりよ あたしたちも」
杏寿「終わりよ あたしたちも。七香にはもうパパは遠くへ行ったんだって言うわ」
第7話「壊れたもの」より
「虫のいい話だってわかってる。でも許されるなら、こっちで新しい仕事探すから、家族3人でもう一度やり直させてくれないか」
いますぐ会社を辞めて岐阜から出て行かないと、会社に不倫を暴露すると不倫相手の旦那から宣言された純平。ことここに至って、自らの犯したコトの重大さに気づき、杏寿に心からの謝罪とやり直し嘆願をします。「仕事は失ってもお前達だけは失いたくない」と。
杏寿はそんな夫に同情的な感情が浮かびかけるも、裏切られた怒りと悲しみがそれを覆い隠してしまいます。
「本当に虫のいい話だよね。もう今までと同じようには純平のこと見れない。・・・終わりよ、あたしたちも」
必至に許しを請う純平に杏寿は「だったら何で(こんなことをしたの!?)」と声にならない叫びをあげます。杏寿の受けた心のダメージは深く、一度壊された信頼関係は容易に戻るものではありません。
また、杏寿の怒りには「あたしのことは抱かないくせに、若くて可愛い女なら抱くのか」といった嫉妬や女のプライド的なものも含まれており、それがなおさら事態を深刻にしています。
パパとママの手をそっとつなぐ七香
第10話「最後の週末」より
家族で過ごす最後の日になるかもしれない土日。娘の七香に少しでも楽しい時間を過ごさせようと、懸命に普段どおりに振舞う純平と杏寿。
子どもとは時として大人が考えている以上に敏感なもの。両親の間の不自然な空気を察した娘の七香はパパとママの手をそっとつながせます。しかし、そんな七香のいじらしい想いも空しく、子どもの目が離れたらすぐに手を離してしまう2人。
子どものいる家庭では、ケンカ、不倫、離婚などは夫婦だけの問題に留まらず、子どもにまで大きな影響を与えてしまいます。物理的にも、精神的にも。
親といえど完璧ならざる人間であるわけでして、いろいろあるのは仕方ないのですが・・・そうした自分達の事情やエゴによって、自分達の愛する子どもを不幸にしてしまうかもしれない事実だけは忘れないようにしたいものです。
「パパ・・・次のお休みも帰ってくるよね?帰ってきてね」
七香「パパ・・・次のお休みも帰ってくるよね?帰ってきてね」
第11話「けじめ」より
最後の週末が終わり、岐阜に帰る純平。事情を知らない七香ですが、何かを感じ取っているかのように必死な表情で父親に追いすがります。こんなん、同じ娘を持つ父親としては涙無しでは読めません・・・
「私は・・・このままこの子から父親を奪ってもいいのか・・・」
杏寿「七香・・・純平のパジャマを抱きしめたまま寝て・・・!!私は・・・このままこの子から父親を奪ってもいいのか・・・」
第18話「一度だけなら」より
パパが帰ってこないことで寂しさを募らせる七香。そんな七香が純平のパジャマを抱きしめたまま寝ているところを目の当たりにして、杏寿は衝撃を受けます。
夫婦のもつれた心の糸を解く鍵は、子どもが握っているのかもしれませんね。
「この世に取り返しのつかへんことなんてあらへんで。命がなくなること以外は」
車中生活ベテランの男「あんたこそ戻りや。今なら日も浅いしまだ間に合うやろ」
純平「・・・僕は取り返しのつかないことをしてしまったんです」
車中生活ベテランの男「この世に取り返しのつかへんことなんてあらへんで。命がなくなること以外は」
第19話「取り返しのつかないこと」より
京都の家にも帰れず、かといって会社寮にいると怪しまれる。仕方なく大きな公園の駐車場で土日を過ごすことになった純平。そこで知り合ったのは車中生活5年目というベテランの男。
かつては不動産会社の社長で家庭も持っていたこの男性ですが、妻と死別し、何もかも失って一人車中生活。
取り返しのつかないことをしまったと嘆く純平に対し、生きている限り取り返しのつかないことなんて無いと諭す男性。世の中の酸いも甘いも知り尽くしている男性の言葉だけに重みがあります。自分自身つらい人生を送っているというのに、見ず知らずの他人を励まし力づけることのできるこの男性は、本当に大きな男だなと感じます。
「ごめんねこんなママで。でも・・・あきらめたくないよ」
里奈「ママ・・・レミちゃんたちとは離れたくないよ・・・でも・・・幸せになりたいよ・・・ごめんね、こんなママで。でも・・・あきらめたくないよ」
第23話「出会った時から(後編)」より
高森夫婦、井筒夫婦ともに、ドロドロ不倫の行く末のキーパーソンとして、「子ども」の存在が挙げられます。
高森夫婦が妻・夫への想いと同じかそれ以上に子どもの気持ちを大事にしているのに対し、井筒夫婦は・・・夫、妻ともに子どもへの愛情はあるものの、井筒夫婦お互いがエゴをぶつけ合い、親権を取ることしか考えていないように感じます。そこには子どもの気持ちや事情のつけいる隙はありません。
妻からの愛情を得られない渡、夫からの束縛を嫌い新たな幸せをつかみたいとあがく里奈。どちらも満たされない思いを抱えており、一定の共感はできます。しかし、子どもをないがしろにする夫婦に本当の意味での幸せが訪れるとはどうしても思えません。
「悲しいね・・・恋愛が始まるときは2人の意思が必要なのに、終わる時は一方だけの意志でいいんだもんね・・・」
里奈「悲しいね・・・恋愛が始まるときは2人の意思が必要なのに、終わる時は一方だけの意志でいいんだもんね・・・」
第25話「本気と遊び」より
夫の渡がいないときを狙って、純平に連絡を入れてきた里奈。なんとしても純平と一緒になりたい里奈は情に訴えかけてきます。純平も優柔不断な情けない面があるので、里奈からアクションをかけられるたびにオロオロとして、読んでて非常にヤキモキします。
色仕掛け、女の涙、謝罪の皮をかぶった杏寿への揺さぶり電話、etc・・・目的達成のためならありとあらゆる手段を用いてくる里奈。ここからしばらくの間里奈のターンとなり、事務のおばさんが「魔性の女」と称した里奈の本領発揮となります。
「やっぱり私が一番包まれたいのは、この人だ」
杏寿「やっぱり私が一番包まれたいのはこの人だ」
第33話「この人しかいない」より
里奈からの「私と純平さんは本気で愛し合っていました」との電話で動揺してしまった杏寿は、サロンオーナー「黒井」を名乗る男の巧妙な誘いにまんまと乗ってしまい、浮気未遂をしてしまいます。純平以外の男に抱かれるのはやはりイヤと、ギリギリのところで逃げ帰ってきたら、そこには平日にも関わらず岐阜から急いで返ってきた純平の姿が。
改めて純平への深い愛情を自覚する杏寿。本漫画の中でも屈指の名場面かと思います。
雨降って地固まる、とは良くいったものですが、この雨(里奈の策略)はこれだけで降り止んだわけではなく・・・新たなトラブルの火種となります。
「裏ではこんなことしてて・・・怖いなって思いました」
里奈「さっき奥さん、夫婦の歴史がどうとかすごく立派なことおっしゃってたけど・・・裏ではこんなことしてて、怖いなって思いました」
第46話「人の本性」より
黒井(偽)を使って杏寿をはめた浮気現場写真を純平にここぞとばかりに見せ付ける里奈。まだまだ続くよ、里奈のターン。自分で陥れておきながら「杏寿さん怖いなって思いました」とかさらっと言い放つ里奈のほうがよほど怖いですよね、これ・・・
このときの里奈はおそらく勝利を確信していたことでしょう。
里奈の暗い反撃。窓に小石をコツン!
第51話「心と体」より
ついに夫と子どもを捨てて家を飛び出した里奈。純平の会社寮に押しかけて誘惑&泣き落としするも、さすがに優柔不断な純平も今度ばかりは強い意志できっぱりと里奈に断りを入れます。
純平に受け入れてもらえなかった傷心の里奈。勝負あったか・・・?と思いきや、帰り際に純平の同僚の部屋に小石をぶつけ、わざと自分を目撃させます。
「こんな時間に里奈ちゃんが主任(純平)の部屋に?まさか、不倫?」
いままで里奈の小悪魔さはわかっていても、「いや、でも里奈は里奈で夫にいつも酷い目にあわされてて可哀想なところあるし、それだけ純平のことが好きってことだし・・・」と多少なりとも同情的な目で見ていました。
純平に迷惑をかけることも省みず、目的のために手段を選ばない。改めて里奈は怖い女性だと感じました。
ついに会社の人間関係にまで波及してしまった不倫問題。この先どんな展開が待ち受けているのか、目が離せません・・・
最新6巻近日発売予定。
*1:2019年2月2日時点の情報です