今年から新たに始まる情報セキュリティの専門国家資格「情報処理安全確保支援士」ですが、本資格は情報処理試験初の登録・更新の必要なタイプです。更新費用が高い(3年間で約15万円かかる)ため、僕は受験を見送りました。
上記記事にこんなコメントをいただきました。
合格だけして無登録にすればよいのでは - sezemi のコメント / はてなブックマーク
合格だけして無登録にすればよいのでは
情報処理安全確保支援士に合格するだけ合格しておき、登録はしない。これは選択肢としてありなのか、考えてみました。
登録することのメリットは?
本資格は名称独占資格です。試験に合格して登録することで、「情報処理安全確保支援士」を名乗ることができます。
国家資格「情報処理安全確保支援士」:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
登録のメリット:
・国家資格「情報処理安全確保支援士」の資格名称を使用することができます。
・情報セキュリティに関する高度な知識・技能を保有する証になります。
・毎年の講習受講により、情報セキュリティに関する最新知識や実践的な能力を維持できます。
逆に言えば、登録しなくてもこの名称を名乗ることができないだけです。情報処理安全確保支援士を名乗ることが仕事をする上でどの程度有利に働くのか、今の時点ではまだ未知数です。
登録だけしておき、費用の高い講習を受けない、という手は?
情報処理安全確保支援士の優位性が将来的にどうなるかはよくわからないので、とりあえず登録だけしておき、費用の高い講習や更新手続きをしない、というのはどうでしょうか?
登録セキスペは、登録日を起点として1年の間に1回6時間のオンライン学習と、3年に1回6時間の集合講習(グループ討議を含む)を受けることが義務付けられます。講習は知識・技能・倫理の3科目で、毎年内容のメンテナンスを行うため、常に最新の情報セキュリティについて学ぶことができます。所定の講習を期限までに未受講の場合は、法律に基づき登録の取消し又は名称の使用停止になる場合があります。
当然そんな甘い考えは通用するわけもなく、所定の講習を受けない場合は登録の維持はできないようです。
今後の展開を見定めてから受験する、というのもひとつの手
「情報処理安全確保支援士の試験には合格したが、登録はしていない」という状態がどのように評価されるのかは現時点ではわかりません。会社によっては合格するだけで資格手当てをもらえるところもあるかもしれませんが、僕の会社は今のところまだ検討していないと言われました。
そもそも、情報処理安全確保支援士を名乗れることがどの程度のアドバンテージになるのかすらわからない状態です。
ベンダー側もこの資格の扱いについて決めかねているようです。
「情報処理安全確保支援士」に対し大手ベンダーは消極的 | スラド IT
先日登録受け付けが開始された新資格「情報処理安全確保支援士」だが、これに対し大手ベンダーは消極的な姿勢を見せている。日経SYSTEMSの調査によると、大手ベンダーはこの資格への対応としてまだ「検討中」や「様子見」というところが多いようだ。
今後この資格が就職・転職・キャリアアップ・実務の上で有効な武器になるのかどうか、それを見定めてからでも受験は遅くは無いと思われます。
少し愚痴になりますが、せっかくの情報セキュリティ分野の士業資格をどうしてこんな中途半端な形でスタートさせてしまったんでしょうね。一定レベルのスキルを担保するために登録・更新制にするのは良いとして、更新費用はもう少し安くできないものなんでしょうか?高い費用に見合うだけのメリットが提示されないことには、受験には二の足を踏まざるを得ません。
情報セキュリティのスペシャリストが今後ますます必要になることは間違いないですし、国も2020年までに本資格の保持者を3万人達成させるとの青写真を描いているようですが、この状況だとかなり厳しいんじゃないでしょうか。