システム開発のお仕事と言うと、
「パソコン1台とネットワーク環境さえあれば仕事ができる」
という現場が多いですが、
ソフトウェアとハードウェア両方の作業が求められる組み込み系開発現場においてはこの限りではありません。
工具やオシロスコープなど、他のソフトウェア開発の現場ではあまり使われないような道具も普通に使うことになります。
本記事では、
「組み込み系開発の現場で、必須ではないけど作業が捗る便利なアイテム」
についてまとめてみました。
先端マグネット付ドライバー
地味なポイントではありますが、ドライバーは先端がマグネットになっているタイプを絶対おすすめします。
ネジ止め中にぽろっとネジが取れてどっかいっちゃった経験のある人って結構いるんじゃないかなと思います。たかがネジの1本や2本と言えど、会社の仕事中に失くしちゃうと煩く言われますよね。
その点、マグネットタイプのドライバーであれば、ネジ紛失リスクをかなり減らせます。
デジタルマルチメーター
組み込み業界をあまり知らない人からすると、
「ソフトウェア技術者なのに、テスターなんて使うの?」
と思うかもしれませんが、組み込み系エンジニアにとってテスターは大事な戦友です。
例えば、「外部から電圧を入力してA/Dコンバータでデジタル値に変換」する機能において、10V電圧を入力しているはずなのにデジタル変換後の換算値は8V程度になってしまう、何故だ!?ということがあったとします。
A/Dコンバータに入力されている電圧が間違っているか、もしくは、A/DコンバータのS/W制御やデジタル値の計算が間違っていることが考えれます。前者ならばハードウェアの問題、後者ならばソフトウェアの問題です。
そんなとき、A/Dコンバータの入力側の電圧をテスターで測定して8V程度しか電圧が来ていなければ、外部端子からA/Dコンバータに至るまでの回路に問題があって意図せぬ電圧降下が発生してしまっている可能性があります。
「ソフトウェアに問題が無い」
ということを証明するためにも、組み込み系エンジニアはテスターで武装する必要があるのです。
マルチテスターは電圧と抵抗のみ測定できる簡易的なタイプであれば数千円程度で購入できるので、一台持っておくと便利です。電流測定までできるタイプはちょっとお値段が高くなってしまうので、そのあたりは用途に合わせてお選びください。
ICテストリード
電子部品の足やコネクタ端子にテスターを当てたいときに重宝するのがコレ、ICテストリードです。
実際の開発現場でテスターやオシロスコープを使うときって、パソコンを操作しながらとかノートにメモを取りながらとか、「ながら作業」で行うことが非常に多いです。
そんなときは、ICテストリードを使って測定ポイントとテスターのプローブを接続しておくと作業が超捗ります。
ICテストリードは色々なタイプがありますが、今回紹介するのは両端が「フッククリップ」&「ミノムシクリップ」になっているタイプです。
こちらはフッククリップの側。クリップのお尻の部分を押すと出てくるフックを、部品の足やコネクタ端子のピンに引っ掛けます。
反対側はミノムシクリップです。テスターやオシロスコープのプローブを挟みます。
慣れている人ならいちいち固定しなくてもひょいっと測定できるのかもしれませんが、普段物理作業に慣れていない人や僕のような不器用な人は、ICテストリードを使うと良いです。一度使うと手放せなくなる便利アイテムです。
携帯ルーペ
組み込み系の仕事では基板上のシルク文字や抵抗素子のカラーコードなど、細かいモノを視認しなくてはいけない機会も多いです。そういうときはルーペがあると助かります。
スマホのルーペアプリを使う手もありますが、仕事中にスマホ出してるとサボってるように見えて少し気が引けますよね。そもそも、現場によってはスマホ持込禁止のところもありますからね。アナログ・ルーペをそっとポケットに忍ばせておくことをおすすめします。
まとめ
本記事で紹介したアイテムのうち、例えばドライバーやテスターくらいだったら、組み込み系開発の現場であれば普通に用意されていると思います。
でも、自分の使い慣れたドライバーのほうが作業しやすいでしょうし、テスターも台数に限りがあって技術者間で取り合いになったりもするので、マイ・ドライバーやマイ・テスターがあるといろいろ捗ると思います。