投資の対象として貴金属を選ぶ、となると大抵の人はゴールドを思い浮かべるのではないでしょうか?
ここ数年金価格は急騰しており、街中でも「金、買い取ります!」と書かれた看板をよく見かけます。金には古来より貨幣としての側面があり、金本位制崩壊以後も資産防衛の要として活躍してきました。
金投資に関連する書籍や情報は巷にあふれかえっていますが、純銀投資に関する書籍や情報は決して多いとは言えません。
「教えて!goo」や「Yahoo!知恵袋」といった質問系サイトにも「投資対象としての銀に興味がありますが、どのように投資すればいいでしょうか?」といった趣旨の質問が度々投稿されています。
需要があるならば供給を、ということで本記事では純銀投資にスポットライトを当ててみました。
もちろん本記事で書いている内容を実践すれば必ず収益を上げられるというものではなく、投資は自己責任でお願いします。
銀は金に比べて値動きが激しい。それゆえに面白さもある。
銀は金と比べてとても市場規模が小さいです。ということは一度に大量の資金が銀市場に流入もしくは流出すると、激しい値動きにさらされるということです。
実際1970年代から1980年代にかけてアメリカのハント兄弟が銀を投機対象にした際は、わずか数ヶ月で銀相場が4倍以上に跳ね上がりました。市場が小さいが故に資金力のある投資家や機関が参入すれば大幅に相場が動いてしまうのです。
ここ数年の銀価格は15ドル/トロイオンス~40ドル/トロイオンスの間を行き来しており、2倍以上の値動きがあることがわかります。比較的短期間での投資を主に行っている投資家にとっては、この値動きの激しさは魅力であると言えます。短いスパンでの買った売ったを好む人には金よりも銀投資が合うと言えるでしょう。
金と銀の値動きの違いを利用する
金も銀もどちらも貴金属ですから、同じような値動きをする場合も多いです。ただし、金は昔から「守りの金」と呼ばれているように、世界経済が混乱し先行きが不透明な時代に買われるという特徴があります。
近年の例では、リーマンショック後やユーロ危機の際に金に資金が集中し、金価格が高騰しました。金融市場の不安定さを嫌った投資家が実物資産である金に着目し、資産の保全を計ったのです。まさに「守りの金」の名にふさわしい実例と言えるでしょう。
銀も実物資産であることに変わりはありませんが、通貨としての側面が強い金に比べ、銀には工業用品として多く使用されているという側面があります。電気抵抗の低さや熱伝導性の良さからハイテク分野で多く利用されます。
そのため、好景気になると値段が上がりやすい特徴があります。「守りの金」に対し、「攻めの銀」と言えるでしょう。余談ですが、「守りの金」「攻めの銀」の役割は将棋に通ずるものがあります。
この値動きの違いを利用し、金・銀両方に一定比率で投資し、好景気時と不景気時にリバランス(値段の上がっているものを売り、下がっているものを買う)を行うことにより収益を狙うという方法もあります。
金銀レシオに着目する
リバランスで利益をあげる具体的な方法として、金銀レシオを利用する手があります。
これは金や銀の価格比率に着目し、どちらが相対的に割安・割高であるかを推し量ろうというものです。1gあたりの金価格が4000円、銀価格が80円だったとすると、金は銀の50倍の価格ということになります。
この数値が低ければ相対的に銀が割高で、高ければ相対的に金が割高ということが言えます。ここ30年くらいは銀に対する金の価格は概ね40倍~80倍くらいで推移しているので、たとえば70倍になったら金を売って銀を買い、50倍になったら銀を売って金を買う、ということを機械的に行うことにより、「安値で買って高値で売る」という投資の王道を感情に左右されることなく実践できます。
長期的スパンで貴金属相場が値上がりを続ければ、高い確率で利益を狙える投資手法と言えるでしょう。
純銀の現物(インゴッド、銀貨など)投資は現実的ではない
純銀投資のテクニック的な部分を書きましたが、ここからは具体的に投資方法について書きます。
まず考えられるのが、純金などと同様に純銀インゴッドや銀貨などの現物を買う、という方法です。しかしこれはあまり現実的ではありません。
上の写真は僕の持っているウィーンフィル銀貨(オーストリア)です。重さは1オンス(約31.1g)で、値段は3000円ほどです。
金貨に比べてお手軽な価格なのが嬉しいですが、例えば100万円の資産を純銀に投資するために1オンス銀貨に替えようと思ったら、300枚以上の銀貨が必要になります。重量にすると10Kg以上です。
これではいくらなんでも収納場所を取りすぎますし、災害時などに抱えて逃げるのも一苦労です。
オーストリア ウィーンフィルハーモニー 2017年 1オンス 銀貨 31.1g シルバー コイン 純銀 インゴット 1.50ユーロ
- 出版社/メーカー: オーストリア造幣局
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純銀ETFや純銀積立がおすすめ
ではどんな方法が良いかというと、純銀積立や純銀ETFをおすすめします。
ETFとはExchange Traded Fundの略で、証券取引所で取引される投資信託のことです。日経平均やNYダウなどの指数に連動するタイプの金融商品で、最近は金や石油、天然ガスの価格に連動するETFも出てきました。もちろん銀価格に連動するETFもあります。
証券会社に口座を持っている人ならすぐにでも銀に投資することができるため、もっとも手軽に銀に投資する方法のひとつと言えるでしょう。
純銀ETFには「ETFS 銀上場投資信託」(証券コード1673)と「純銀上場信託(現物国内保管型)」(証券コード1542)の2種類がありますが、「純銀上場信託(現物国内保管型)」のほうが最低投資金額が数千円程度(純銀100グラム相当なので、1グラム60円なら6000円程度)と少なくすむため、小額資金から購入することもできるためオススメです。
ETFは投資信託の一種なので、保有期間中は常に信託報酬という手数料が発生します。上記2種類のETFは信託報酬0.5%~0.6%(年率)ほどなので、100万円購入して1年間保有すると5000円~6000円ほどの手数料を取られますが、現物を自分で保管する手間を考えると決して高くない手数料かと思います。
まとまった資金を一気に使うのではなく、毎月コツコツと貯めたいと言う人には、純銀積立もおすすめです。最近ではSBI証券やマネックス証券など一般の証券会社でも純銀積立サービスを行っているところがあり、お手軽にはじめることが出来ます。
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