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【ネタバレ注意】「ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~」を読んだ感想

「ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~」を読みました。

 

読了直後の感想を書きます。若干ネタバレ含みますので、未読の方はご注意ください。

 

 

古書にまつわる4つの短編

栞子と大輔の娘が登場する、ということで、

 

「娘が新世代の探偵役になるんかな?でもまだ6歳なのに早すぎくない?いかにもフィクションって感じだな」

 

って思いながら読んでましたが、娘の扉子はただの聞き役でした。大輔の無くした本を探しながら、本にまつわる4つの話を扉子に聞かせる、という。

 

いくら話を要約してわかりやすく伝えているとはいえ、

「こんな話、6歳児が理解できるんかな?」

と思う話もちらほらあったわけですが、扉子は普通に理解している様子。6歳にしてはちと賢すぎじゃないですかね!?

 

探偵役ではなかったとはいえ、扉子の本好きと知的能力は栞子譲りの並々ならぬものがあるようですが、それに加えて人一倍強い好奇心は栞子にも無いモノです。末恐ろしい6歳児だ・・・

 

あと、栞子のノロケがやたら多いな、と。大輔の行動を目で追って「素敵だったなぁ」と回想したり、大輔の言動を逐一覚えていたり。栞子本人も自覚しているように、ややストーカーじみてる・・・まあ、結婚直後だから仕方ないかと思いきや、結婚7年後でも同じような様子。幸せな家庭を築いているようで何よりだけどw

 

 

後日談的な話

本書は短編集ということもあって、古書にまつわる「謎」部分はちょっと弱めな気がします。

 

  • 坂口昌志の家族の話
  • 小菅奈緒のラブ・ロマンス
  • 宿敵「舞砂道具店」の現在の様子

等々、「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズに登場した人物達の後日談や裏話的要素が強いので、昔からのファン向けの一種のファンブックのようなものと考えることもできます。

 

僕が個人的に気になったのは「舞砂道具店」の三代目・吉原孝二の話です。

 

吉原孝二の父親・吉原喜市に対して僕は以前のレビューでこう書きました。

【ネタバレ注意】小説「ビブリア古書堂の事件手帖」最終巻の感想

ただ・・・どうにも最後がいただけない。篠原母娘にニセモノをつかませることができたと確信したときの大笑い(オークションの途中から笑いを堪えていた)にしても、篠原母娘にまんまと敗れて、シェークスピアのファーストフォリオ(本物)を手放さざるを得なくなったときの醜態にしても。

中盤までの掴みどころのない飄々としたキャラはどこへやら、これではただのチンケな悪党です。あるいは、それも含めての「道化役」として自分の役を演じきった、ということでしょうか・・・

 

 吉原喜市はラスボス感的雰囲気があったにも関わらず、最終的に情けないキャラになってしまい、読んでいた当時はがっかりしました。その息子である吉原孝二は栞子たちのライバルとなりえるような人物なのだろうか・・・という興味がありました。

 

結論からいうと、吉原孝二は父親ほど悪人になりきれず、能力的にもいまひとつ、ポカミスもありあっさりと御用となってしまいました。これはこれで物足りないものがありますが、同情的な大輔に対して、

「あなたから情けをかけられるわけにはいかない」

ときっぱりと撥ねつけて警察への引渡しを要求する様は、父親のそれとは違う矜持を感じました。父親にも矜持めいたものはありましたが、あれは矜持というよりも妄執に近い印象のほうが強かったので。

 

 例え能力的には父親には譲ったとしても、主人公達のライバル的立ち位置として出てくる以上は、やはり一本芯の通ったキャラでいて欲しいというのが僕の願望です。その点吉原孝二はその条件を最終的に満たしてくれたので、個人的には満足のいく読後感でした。