ホワイトベース、アーガマ、 ネェル・アーガマ、ラーカイラムの艦長を歴任した名指揮官「ブライト・ノア」。
常に最前線でニュータイプを率いて戦ってきた苦労人でもある彼の視点から宇宙世紀を振り返る漫画「虹にのれなかった男」が面白いです。
オールドタイプ最強の男「ブライト・ノア」
最強のニュータイプは誰か、というのはしばしばガンダムファンの間でも論争になります。一説によるとカミーユ・ビダンであるともアムロ・レイであるとも言われています。
では、最強のオールドタイプは誰なんでしょうか?機動戦士Ζガンダムのヤザン・ゲーブルや、機動戦士ガンダム0083のアナベル・ガトーあたりが候補に挙げられているのをよく見かけますが、僕は断然ブライトさんを推します。
一年戦争時はサイド7から素人集団を率いてジャブローまでたどり着いた後星一号作戦やア・バオア・クーの戦いにおいても一定の戦果を挙げつつ生き延び、
グリプス戦争時は連邦軍からエゥーゴに転身した後ティターンズやアクシズとの三つ巴の争いを戦い抜き、
第一次ネオジオン戦争時は物資も人員もいない上に問題児軍団(ジュドー達)に乗り込まれて好き勝手されてもなんとか集団としての統率を保ち、
第二次ネオジオン戦争(シャアの反乱)時は連邦軍の中にあって孤立無援の状態でありながらアクシズに果敢に攻撃をしかけシャアをして「ブライトやるな!」と言わしめた男。
オールドタイプ最強と言わずして何とする!
そんなブライトさんが上層部から査問を受けながら一年戦争~シャアの反乱までを振り返る本漫画「虹にのれなかった男」は、ブライトさんが各戦争でどんな思いで戦ってきたか、その内情に迫る、ガンダムファンならば読み応えのある良漫画です。
また、気になっている人も多いと思われるカムラン*1やハサウェイ*2のその後についても触れられていて、興味深いです。
ニュータイプに対するある種のコンプレックスと自責の念
「虹にのれなかった男」というタイトルはなかなか言い得て妙な奥深さがあります。
常に第一級のニュータイプたちの傍らで戦ってきた、「オールドタイプ」のブライト・ノア。
「連邦軍上層部は俺までニュータイプだと思ってるんだからな」と自嘲気味に言いつつも、アムロやカミーユ、ジュドー達と同じ世界を見ることのできない自分に対し、ある種のコンプレックスを抱いているようにも見えます。
また、同時にそれがアムロたちの苦しみや葛藤を本当の意味で理解してやれなかった、支えてやれなかった、という自責の念にもつながっている気がします。
虹にのれなかったオールドタイプのブライトが最終的にニュータイプとは別の戦い方を選ぶラストシーンは、ブライトの万感の思いが伝わってくるようで胸が熱くなります。