「ぼく、オタリーマン」「理系の人々」「ぼくの体はツーアウト」「ガンダム系の人々」・・・数々の人気コミックエッセイを世に送り出してきた作者「よしたに」さんによる新シリーズ、「いつかモテるかな」を読みました。
非モテを自認するよしたにさんによるモテ男変身(予定)への道のりを描く渾身のコミックエッセイです。帯の煽り文句「べ、別にモテたいわけじゃないけど!」が実によしたにさんらしい良い味を出していますw
各章ごとのレビューを書いてみます。
第1回「今までモテたかな」
よしたにさんがいままでの人生を振り返って改めて非モテを自覚するお話。
女性にアプローチするときの距離感がわからない、タメ語で話しかけても良い時期がわからない、せっかく紹介してもらった女性とも上手に話せない・・・などなど、非モテ属性の人であれば共感しすぎて心をえぐられそうになるエピソードの数々。逆にモテる人だと「なんでそんなこともわからないの?」とクエスチョンマークが10個くらい並ぶこと請け合いですね。
もちろん僕は心をえぐられた側の人間です。一生分と来世分の幸運を全て使いきって運よく今の妻に巡り合えたから良かったようなものの、いままでの人生でまともにモテた経験ゼロ!
モテる人って、異性との接し方どこで習うんでしょうね。学校では習わなかったし。どこかで説明会でも定期開催されているのかな・・・
第2回~第4回「服装なおせるかな」
非モテ属性からモテ属性への転換を図りたい人がまず最初に思いつくであろう行動として、「ファッションの見直し」が挙げられるんじゃないかなと思います。
オタクのためのファッション指南本が一昔前にも流行ってましたしね。
よしたにさんがファッションコーディネーターにサイズの選び方、色の組み合わせ、素材などなどのアドバイスをもらって一式買い揃えるお話。
ビフォア&アフターの画像をみると、たしかに歳相応の落ち着いた服装になったとは思いますが・・・
ファッション一式で10万円以上って高すぎじゃないですかね?
え?モテる人って本当にこんなにファッションにお金かけてんの?
第5回~第6回「笑顔になれるかな」
「人間関係の基本は笑顔から!」ということで、よしたにさんが正しい(?)笑顔の作り方を取材するお話。
非モテの人は確かに笑顔が苦手な人多い気がする。ソースは僕自身。写真撮るときとかがんばって笑顔作ろうとするとほぼ確実にその写真はあとから絶対に見返したくない写真に仕上がってしまうので、最近では写真撮影時はあえて無表情にしてます。キモい顔よりも無表情のほうがナンボかマシだし!!
第7回~第8回「綺麗に食べれるかな」
首尾よく異性とデートにこぎつけられたとしても、食事マナーが悪くては幻滅されてしまう・・・ということで、フレンチのテーブルマナーを習いにいくお話。
テーブルマナーどころか箸の持ち方すらなっていない僕には耳が痛い・・・
そういえば、妻と最初にデートしたときはイタリアンだったけど、フォークとかスプーンとか全然スマートに使えていなかった気がする。妻が細かいことを気にしない人で良かった。ご飯なんて美味しく食べられればそれでいいんですよ。
第9回~第10回「ボクが結婚できない理由」
よしたにさんが高校時代の自分と語り合いながら、何故自分が結婚できないのかを考察するお話。考察の結果を一言で強引にまとめちゃうと、結局「コミュニケーションをとるのが苦手だから」という点に集約されてる気がします。
よしたにさんに直接会ったことがないので想像の域を出ませんが、よしたにさんって自分で言ってるほどコミュニケーション苦手でもない気がしますけどねぇ。友人もそこそこ多くいるし、過去に何人かの女性と付き合ったことがあるし。
そもそも10代の頃に彼女がいたっていうだけで(「ぼく、オタリーマン」参照)、僕からみるとよしたにさんは充分「モテ」側の人間なんだよなぁ・・・僕の「モテ」基準が低すぎるのかもしれないけど。
第11回~第12回「合コンできるかな」
4:4での合コン話。よしたにさんにしては珍しく、事前に作戦会議までして入念に望みましたが、結果は大方の予想通り惨敗です。
よしたにさんはコミックエッセイの中で女性のことを「美人さんだ」と持ち上げることが多いのですが、何故か今回は結構な辛口批評(ただし心の中で)。
歳を重ねるとともに、女性に対する見方もシビアになってきたということでしょうかね。
超余談ですが、僕も合コンでは上手くいった試しがありません。常に精神的アウェーといいますか、男女複数人で会うのがどうにも苦手なんですよね・・・サシならもう少しだけマシなんだけどな、と聞かれてもいないのに言い訳を書いておきます。
第13回「こんがり焼けるかな」
よしたにさんが日焼けサロンに行くお話。あまりこれといって感想はありませんが、強いて特筆するなら、よしたにさんと友人がゲイカップルに間違われたらしき描写をみて「ほらね!絶対よしたにさんは見た目ゲイっぽいと思ってたんだよね!」と妻が何故か大興奮していました。なんで女性ってホモ関連の話題好きなんだろ。
まとめ
総評としては、「面白いことは面白いけど、いまいち物足りない」といったところです。
作品の方向性的に仕方ないのかもしれませんが、どうしても取材漫画的側面が強くなってしまっていて、コミック「エッセイ」という感じがしないのです。その点は「ぼくの体はツーアウト」でも感じました。
「ぼく、オタリーマン」や「理系の人々」のように、よしたにさん自身の自然な体験や価値観などを元にした、内面からにじみでるようなネタのほうが僕は好みですね。
ただ、よしたにさん自身が以前別のコミックエッセイで「もうエッセイネタは限界だ・・・」的なことをぼやいていたので、なかなかネタ出しが厳しいのかもしれません。
【追記】2巻の感想
よしたにさんのコミックエッセイは全般的に好きですが、この「いつかモテるかな」は正直そこまで面白いと思えませんでした。この2巻を本屋で見かけたときも買おうかどうか一瞬躊躇しましたが、結果的には買って大正解。かなり面白かったです。
というのも、前述したように1巻は「ファッション」「マナー」「コミュニケーション」などモテるための下準備と言いますか、スポーツで例えると練習風景ばかり見させられていた感じだったのです(合コンの話も1つありましたが)。
それに比べ、2巻は「相席居酒屋」「お料理合コン」など、言わば実戦編!実際によしたにさんが非モテの殻を破るべく戦場に突入する話がメインでした。うん、これは面白い。よしたにさんが微妙にモテてたのは面白くなかったけど。
プラス、いままで謎のベールに包まれていた、よしたにさんの大学時代の彼女の話なんかも掘り下げられていたりして、なかなかに興味深い。結局この「大学時代の彼女」がよしたにさんと付き合った理由がさっぱりわからなくてモヤっとします。僕よりかはずっと女性の心の機微に詳しいであろう妻に今度読んでもらって、解説してもらおうかな・・・
- コミックエッセイ「理系の人々」は理系が読んでも文系が読んでも楽しめる名作
- ゆるいオタクの日常を赤裸々に綴ったコミックエッセイ「ぼく、オタリーマン。」が面白い
- ゆるめな感じのエッセイやブライトさん漫画を楽しめる「ガンダム系の人々」が面白い
何回読んでも面白い!おすすめのコミックエッセイを厳選して紹介します