漫画「スラムダンク」の神奈川県予選ベスト4のうち、湘北、海南、陵南の3校がほぼ互角の戦いをする中、武里だけはどのチームに対しても30点以上の差をつけられて惨敗してしまいます。かませ犬的存在として描かれています。
武里は陵南に50点以上の差をつけられて敗北した後、湘北戦に挑むに際して監督は選手達にこう言います。
「海南はおそらく3戦全勝で1位になる。海南戦は捨てる!残り3校が1勝2敗で並んで得失点差でうちが2位通過する!だから湘北には少しでも多くの点差をつけて勝て!」
この戦略は大失敗であったといわざるを得ません。
インサイド主体で攻めればワンチャンあったかも
武里の選手達は監督の基本戦略に従って、湘北に対して点の取り合いをしかけます。しかし、
「点の取り合いをしては武里は勝てない。湘北は得点力だけなら県内1、2位を争うチーム」
と相田記者も指摘しているように、湘北相手にラン&ガンによる点の取り合いを挑むのはかなりの難易度なわけです。1本1本じっくりと狙っていくスローペースの試合を武里は目指すべきだったと思うんですよね。
ただ湘北と武里の地力の差を考えると、点の取り合いを挑もうが挑むまいが武里の不利は変わらないと思われますが、この試合だけはちょっと事情が違いました。
湘北はインサイドの要にして大黒柱の赤木がケガの影響を考慮して、かなり早いタイミングでベンチに退いています。陵南戦を見越した上での温存ですね。それだけではなく、リバウンド王の桜木も寝坊して試合開始に間に合っていません。
つまりこの試合、湘北はインサイドを固めるべき赤木と桜木が不在で、代わりに木暮と角田が出場していたわけです。
いかに武里がかませ犬的存在とはいえ、仮にも2年連続でベスト4まで勝ち上がって来たチームです。インサイド主体で攻めれば、木暮・角田の2人相手なら互角以上の勝負ができたのではないでしょうか?
とはいうものの、湘北にはまだ流川、三井、宮城がいますから、武里が仮にインサイド主体で攻めたとしてもまだ少し苦しかったと思われます。それでも、本編のように39点差(湘北:120 - 武里:81)もつくことはなく、もう少し接戦になっていた可能性は高いでしょう。
そもそも得失点差による2位通過が無理ゲーだった
そもそもの話をすると、
「海南以外の3チームが1勝2敗で並ぶことを前提に、得失点差で勝つ」
という青写真自体に無理があった気がしてなりません。
武里は陵南相手に53点差(武里:64 ー 陵南:117)もの大差をつけられて惨敗しています。得失点差で有利に立とうと思ったら、単純に考えても湘北に53点差以上の圧勝をしないと厳しいです。
しかし湘北は去年2位の翔陽を破り、海南相手に1ゴール差の試合をしたほどのチームです。「(どうせ勝てないから)海南戦は捨てる!」と言っているようなチームが53点差もつけて勝とうとするなど、土台無理な話です。
そのあたりは武里の監督も多分わかってたと思うんですが・・・駄目で元々か、もしくはヤケクソだったんでしょうか。
どっちみちインターハイにいけないのなら、選手達に無謀な点取り合戦をやらせるよりも、相手の弱点を的確につく戦法を経験させたほうが良かったんじゃないかと思いますね。そのほうが選手達は良質な経験値を貯められて、冬の選抜や来年以降に生きてくるんじゃないかと。