今年から本格的な運用が始まる予定の「5G」(第5世代移動通信方式)。 2020年は5G元年として記録と記憶に残ることになるかもしれません。
「5Gって最近よく聞くけど何なの?スマホの通信が速くなるらしいけど、よくわからんなぁ」
という人も多いかと思います。こんな記事を書いている僕も、似たり寄ったりの理解度ですw
とはいえ、一応IT業界の末端に身を置いている立場としては多少なりとも勉強しておかないとなぁ・・・ということで、5Gビジネス見るだけノートという本を読んでみました。
5G技術が生活にどのように使われるのか、僕らの生活がどう変わっていくのか、という点がイラストを多用しながらコンパクトにまとめられていて、なかなかの良書です。
本記事では、この本を読んでわかったことをまとめてみました。
5Gはただ速いだけじゃない!
「5Gの特徴は?」
と聞かれれば、大抵の人は、
「高速通信!大容量!」
的な答えになると思います。
それ自体は間違ってないんですが、僕が今回読んだ本によると、この後が重要のようです。つまり、通信が高速大容量化することにより、
- 低遅延(リアルタイム性)
- 多数同時接続
という恩恵を得ることができ、これが5Gのキモみたいです。
「低遅延」&「多数同時接続」だと何が変わる?
では、通信が低遅延(リアルタイム性)かつ多数同時接続ができるとどんな嬉しいことがあるかと言えば、最近話題のIoTにとって非常に便利な環境になるというわけです。僕は組み込み系エンジニアなので、IoTは僕の仕事にも結構絡んできます。
IoTとは、Internet of Things(モノのインターネット)の略で、センサーと通信機能を持った「モノ」(デバイス)がインターネットによってつながり、各デバイスが相互に情報を共有できるようになる製品群のことです。
ほんの20年前までは、家庭内にあるもので、インターネットに接続されるデバイスといえばせいぜいパソコンくらいでした。あるいは一部の家電とか。
10年前の4G登場によりスマホやタブレットが爆発的に普及し、家庭内での情報通信デバイスの主役がパソコンからスマホに移り変わりました。
そして現在。5Gがもたらす高速大容量通信、それに伴うリアルタイム性や多数同時接続により、家庭内のありとあらゆるモノがインターネットにつながる環境が用意されつつあります。インターフォン、エアコン、給湯器、等々。
5G登場による変化はただのスマホ高速化だけに留まらず、僕らの日常生活を一変させてしまうポテンシャルを秘めています。
影響は家庭内だけに留まらない
巨大なデータをインターネット経由で共有できる影響は家庭内に留まりません。
車両に搭載されたカメラ映像を有機的に結合して共有できることは、自動運転にとっても大きな力になります。インターネットへの常時接続機能を有する「コネクテッドカー」が今後続々と増えていくことが考えられます。自動車自体が動く通信端末というわけです。
仕事方面においても、高所や災害現場など危険を伴う作業にロボットを導入して遠隔操作するなど、5Gに接続されるシステムが人間に代わる機能を提供できるようになります。
また、5G環境によって得られるビッグデータを活用して、上記のような遠隔操作を人間が行う必要すら無くなるかもしれません。AIによる自立動作の研究開発も活発に進んでいます。
そう考えると、「5G」「IoT」「AI」といった最近話題の最先端技術はすべてつながっているとも言えますね。
- 無人トラックやドローン配送による物流
- オンライン診療や遠隔手術
- 介護ロボット
- 4Kカメラ+AIの組み合わせによる警護システム
ありとあらゆる分野への応用が期待できそうです。慢性的な人手不足に悩まされている日本社会の救世主になるかもしれませんね。
現在日本企業はこれら最先端技術の研究開発を円滑に進めるために「コネクテッドインダストリーズ」という試みを始めています。
- スマートモノづくり
- 自動走行
- ロボット、ドローン
- バイオヘルスケア
の4分野において、各社の技術とデータを共有して連携、強化することにより、開発効率を上げようというわけです。
インダストリー4.0を提唱したドイツよりも日本のほうが上記分野の技術は蓄積されているという見方もあるので、是非とも他国より圧倒的に抜きんでてトップランナーになってほしいところです。そのためにはもう少し国の後押しが欲しいところですが・・・
課題はセキュリティ
5Gによる技術革命といっても良い話だけではありません。心配なのはやはりセキュリティ方面ですね。
生活や仕事に深く浸透する技術ということは、逆に考えると、それを犯罪に利用しやすくもなるということです。
5GやIoT、AI関連企業でもそのあたりに対しては神経を尖らせて製品・サービス開発を進めているようですが、如何せん、現在セキュリティ関連技術者は人手不足の状況です(最近はほとんどの技術者が人手不足ですけどね)。
「情報セキュリティマネジメント試験」「情報処理安全確保支援士」といったセキュリティ系の資格・スキルを持った人が5G登場によって今まで以上に重宝されるかもしれませんね。中途でIT業界入りを狙っている人は、このあたりのスキルを身に着けておくといいかもしれません。