最近、猫も杓子もAI、AI。
テレビでもネットでも何かにつけてこの単語が出てきます。しかし、AI関連の専門エンジニアならいざ知らず、「AIとは何か?」を理解して説明できる人ってあまり多くないんじゃないでしょうか?
だからといって詳しい人に
「ねぇねぇ、AIって何なの?どんなことができるの?」
と質問をぶつけても、漠然とし過ぎてて相手もどこから説明すればいいのか、途方に暮れてしまうことと思います。
今回の記事では、AIの概要についてざっくり知りたい人向けのおすすめ本「AIにできること、できないこと」を紹介します。
この本が向いているのはどんな人?
- AIとはいったい何者なのか、ざっくりしたところを知りたい
- 難しい専門用語を使わずに説明してほしい
- AIには何ができて何ができないのか、ビジネスや実生活にどう役立つのか知りたい
「第一章 そもそもAIとはなにか」
第一章では、「そもそもAIとは何か?」という根本的な部分の説明がされています。
- 最初に「AI」と呼ばれていたモノは何だったのか?
- 何を持って「AI」(人工知能)と定義するか?
- AIブーム期とAI冬の時代
- 第1次AIブーム、第2次AIブーム、第3次AIブーム
- AIの種類「予測系AI」「言語系AI」「画像系AI」「ゲーム系AI」について
このあたりの説明を、専門用語を極力使わずに説明してくれてます。
本書全体の特徴でもありますが、専門用語をあえて避けてわかりやすくするために、用語の再定義のようなこともしてくれています。例えば、「予測系AI」「言語系AI」「画像系AI」「ゲーム系AI」というカテゴリ分けは専門家の間ではあまり使わないそうですが、非エンジニアの人にとっても直感的にわかりやすくするために、このような分類をしています。
「第二章 AIの実態」
第二章ではもう少し踏み込んで、「AIは実際どんなことができるのか? or できないのか?」に焦点を当てて書かれています。
「AIは何でもできる」という世間のふわっとしたイメージに対して、AIの実際の学習内容(方法)の説明をざっくりと展開しています。
AIを「強いAI」と「弱いAI」に大別した上で(現在AIと呼ばれているものは「弱いAI」だそうです)、弱いAIの代表的な学習方法
- 教師あり学習
- 強化学習
- 強化無し学習
それぞれの内容とその問題点を解説し、現在のAIに足りない点や、より人間らしい思考のAI(≒強いAI)に近づけるためのアプローチ法などに触れています。
印象的だったのは、「基本的にはAIは人間が正解を教えてあげないと学習できない」(何が正解かは人間が決める)という点です。まだまだAIだけで全てを判断するのは難しいようです。
「第三章 AIの中身」
第三章ではAIの具体的な中身を説明するために、重要キーワード「ディープラーニング」について書かれています。
これまでの章でも説明の便宜上何回か「ディープラーニング」という言葉は出てきましたが、この章で本格的に説明されています。
本格的に説明・・・というと、
「なんだか難しそうだな・・・理系じゃないとわからないんじゃない?」
と思われるかもしれませんが、ここでもなるべく簡単な言葉や図を活用して、かなり噛み砕いた説明になっているので専門知識が無くても理解しやすいと思います。
「第四章 AIのビジネスでの活用」
第四章ではいよいよ、AIのビジネス面での活用について書かれています。言い換えると、
「AIは人間の仕事を奪えるの?(完全な人間の代替になるの?)」
という点です。この本はビジネス書の扱いなので、本を手に取った人が一番気になる章かもしれませんね。
結論から言うと、AIが人間の仕事を完全に奪えるのはまだまだ先のことになりそうです。AIは人間に比べて、
- 手先の器用さ
- 手先の素早さ
- 不安定な環境下での作業実施能力
- 独創力
- 芸術的能力
- 他者に対する洞察力
- 交渉力
- 説得力
- 他者へのサポート能力
を苦手としているため(本文P153より引用)、逆に言えばこれらの能力が必要とされる仕事は人間に優位性があり、そう簡単には奪われないということです。
上述したようなAIに苦手な点を踏まえつつ、どうビジネスに活用していくか、ビジネスとして成立するAIを作るためには何を重視して設計すればいいのか、このあたりについて本章で語られています。
「第五章 未来」
第一章~第四章ではこれまでのAIの歴史や、現在のAIができることできないこと、いわば過去~現在について書かれていましたが、第五章ではAIのこれからの未来についてのお話です。
「まだまだAIは人間を完全に代替できない」と先述しましたが、これから先少しずつ人間の仕事が代替されていく大きな流れに変わりはありません。
そうなったとき人間はどうすればいいのかを考える前に、今後AIを発展させていく重要なキーワードとなる、
- 脳医学
- 量子コンピュータ
の説明に触れつつ、人間がAIより優位に立てるポイントを示しながら、人間が今後重点を入れて伸ばさなくてはいけない能力について書かれています。