短編ミステリーの究極形とも言える「2分間ミステリ」(ドナルド・J. ソボル著)を読みました。
各短編わずか2ページほどの中にちゃんと謎が詰まってて面白かったです。さらっと感想を書いてみます。
本書の構成
71もの短編が収められたミステリー集です。各短編の長さはだいたい2ページほどで、表題通り約2分ほどで本当に読めてしまいます。
こんな短い話でミステリーが成立するのか不安になりますが、どの話もきちっと謎とオチが用意されているのがすごいです。
短編の最後は読者に対する問題形式(犯人は誰か?とか、何故探偵は犯人の嘘に気づいたのか?など)となっており、頭の体操を求められます。回答部分がうっかり先に目に入らないように、数ページ先で逆さに記述してある心遣いが憎いです。
超短編集の醍醐味
長編ミステリーを読んでいるとき、途中で思わず最後のページ付近を確認してしまう人っているんじゃないでしょうか?かくいう僕もそのタイプの1人です。
読んでる最中に謎解きが待ちきれなくなっちゃうんですよね、わかります。探偵役が謎を解き明かすときの「なるほど、そういうことだったのか!」と唸らされる感覚を早く味わいたいんですよね。
そんなせっかちなタイプにはまさに本書がうってつけかもしれません。何せ、
「これ結局犯人は誰なんだろう・・・気になる。先にオチだけ読んじゃおうかな、どうしようかな。でもそれだと台無し感あるし・・・」
と思い悩む暇もないくらいにあっという間に終わりますので。2ページですからね。
この手の短編集の常として、話によってクオリティの差が激しいという欠点ももちろんありますが、それも含めての楽しみと言いますか、混合玉石のエピソードをザッピング感覚で楽しめるのも超短編集の醍醐味と言えるかもしれません。
本書は外国が舞台ですが、より身近に日本が舞台の超短編ミステリーが読みたい人には、「4ページミステリー」もおすすめです。
少し残念なところ(※ネタバレ注意)
本書で個人的に少し残念だった点があります。
ネタのクオリティにばらつきがあるのは仕方ないとしても、謎を解く上でちょっとした豆知識が必要になるエピソードがあるんです。ワインの知識とか、金属の特性とか。
「そのくらい一般常識の範疇だろう」と言われればそうなのかもしれませんが、やはりフラットな状態で考えれば誰でも解決に辿り付けるというのが優れたミステリーかなと思いますので、このあたりはややアンフェアかなと感じました。
同タイプのミステリー集
2分間ミステリーは人気シリーズで、続刊も出てます。
「2分間ミステリーは短すぎて物足りない・・・もうちょっとだけ長いミステリーが読みたい!」
という人には、「10分間ミステリー」というのもあります。飲食店で注文してから出てくるまでの間とか、ちょっとしたスキマ時間に読むには最適ですね。